エーザイ認知症薬「年間298万円」に決まった裏側 異例の「45%加算」でもエーザイは不服なワケ

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エーザイの認知症薬「レケンビ」
昨年末から国内での販売が始まったエーザイの認知症薬「レケンビ」。薬価算定に当たっては、”例外的”とも言える加算が行われた(写真:エーザイ)

注目を集めてきた認知症の新薬の販売が今年、いよいよ本格的に始まる。

エーザイの認知症治療薬「レケンビ」が2023年12月20日、国内で発売された。すでに患者への投与も始まっている。

早期認知症患者の症状進行を緩やかにする新薬として注目されるレケンビだが、製薬業界では、12月13日に決まった“値段”が話題を呼んだ。というのも、国内では破格とも言えるプレミアムが付けられたためだ。

レケンビの薬価(公定価格)は体重50kgの患者の場合、年間298万円となる見込み。これについて、薬の費用対効果に詳しい横浜市立大学の五十嵐中(いがらし・あたる)教授は「レケンビが300万円近い価格となったのは意外だ。かなり特例的な評価がされている」と話す。

100万~200万円程度との予想を覆す

先行して2023年7月に承認されたアメリカでの価格は、年間2万6500ドル(約380万円)。一般的に、アメリカで先行発売された薬が日本で発売される場合、アメリカでの価格の半分~3分の1ほどになるケースが多い。

そのためレケンビも、「国内の薬価は100万~200万円程度になるのでは」との見方があった。ところが実際には、その想定よりもはるかに高い薬価がつけられたことになる。

業界関係者も驚く価格がつけられたのはなぜなのか。

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