(第70回)2012年度新卒採用動向調査【中間総括】学生の動き

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●文系は選考延期業界を志望する学生が多い

図表6:今後受けたい業界トップ5


選考開始時期は業種によって異なっていることを前回のリポートで指摘した。銀行、証券、生損保は5月に変更した企業が多く、電機、自動車、鉄鋼、食品業界などのメーカーと、JR東日本、NTT東日本および商社は6月に変更している。
「今後受けたい業界」を聞いたところ、これらの業界が多い。文系では6月以降に選考を開始する「総合商社」がトップだ。2位に「地方銀行」を挟んで、5月選考の「メガバンク」、6月選考の「電機」と、選考を延期した業界が並ぶ。
理系のトップ3は「電機/機械/材料」「医薬/化学/化粧品」「情報処理/システム」。「内定を受けた業界」と同じ順番だが、現在の内定企業よりも大手を目指しているものと推定できる。

●大手志向の強い「早慶」、「こだわらない」が意外と多い「旧帝大」

図表7:今後受けたい企業規模


大学クラス別に大手志向度を見ると、最も「大手志向」が強いのは「早慶クラス」だ。「絶対大手」と「できれば大手」を合わせると55%が大手を志望している。次いで「上位私大クラス」の大手志向度が45%。
やや意外なのは「旧帝大クラス」だ。「大手志向」も43%とかなり高いが、「規模にこだわらない」層が34%もいる。
「規模にこだわらない」層が最も多いのは、「その他私立大学」で40%。「大手志向」は2割弱と最も少ない。

●「仕事内容」「社風」「やりがい」が文系、理系ともにトップ3

図表8:今後受ける企業を選択するポイント


学生の大手志向が強いと言われるが、企業の選択ポイントを聞くと、「企業規模」「知名度」を挙げる学生は意外に少ない。順位に若干の違いはあるものの、文系、理系ともに「仕事内容」「社風」「やりがい」が企業選択ポイントのトップ3である。つまり自分がどんな企業文化の中で、何を実現できるのか、という視点だ。
4番目は文理で項目が異なり、文系が「勤務地」、理系は専攻と関係が深い「業界」だ。

●「就職ナビ」強し、「就職部・キャリアセンター」が2位

図表9:新しい応募先企業をどう探す


選考中の「手持ち」企業がなくなった場合、新しい応募先企業をどう探すかを質問したところ、文系、理系ともに約7割の学生が「就職ナビ」と回答している。2位には「就職部・キャリアセンター」が挙げられている。
就職ナビは便利な道具で、ネット環境があればいつでも閲覧することができる。他のキャリアセンター、先生・友人の口コミ、合同会社説明会などは、自分が移動する手間がかかる。したがってとりあえず就職ナビということになるのは当然だ。
2位の就職部・キャリアセンターとの関係強化も、これからの12年採用では有効といえる。

次回は、2013年卒採用市場を展望してみたい。

HRプロ株式会社(旧社名:採用プロドットコム)
(本社:東京千代田区、代表取締役:寺澤康介)
人事のプロを支援するポータルサイト「HRプロ」を運営。新卒/中途採用、教育・研修、労務、人事戦略などの業務に役立つニュース、ノウハウ、サービス情報、セミナー情報を提供している。HR担当者向けのセミナーも東京・大阪で開催している。

 

 

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