「5万円のケーキ」に見えたコージーコーナーの本気 「親しみやすさとコスパ」だけではなかった

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「クロンヌ ドゥ フレーズ」、フランス語で「いちごの王冠」という意味を持つこのケーキは、クリスマスリースをイメージしたものだそう。表面を飾るたくさんのいちごやベリー、周囲を囲むピンク色のいちごジャム入りクリームがリースっぽさを演出している。

宮殿のように見える、クロンヌ ドゥ フレーズの断面(写真:銀座コージーコーナー)

しかしその真の美しさが現れるのは、ナイフを入れた瞬間だ。中央はいちごのショートケーキ、周辺がホワイトチョコムースの2重構造となっており、断面が尖塔を備えた宮殿のように見えるのだ。

職人の技術やこだわりをすべて込めたケーキ

直径約24cm、高さ約17cm、重さ約3kgというサイズ感で、15〜18人分を想定。15台限定で、予約受付は11月30日までで終了している。

コロナがほぼ収束したとは言え、物価高で財布の紐がかたくなっている昨今。銀座コージーコーナーはなぜ、この商品を発売したのだろうか。代表取締役社長の船田知秀氏に聞いた。

「当社は全国に手頃な価格で多くの商品を提供しているが、工場では職人が、当社ならではの技術を磨いてきた。その技術をきちんと世に知ってもらいたいという思いがあった。そこでこのたび、当社の職人の技術や素材へのこだわりをすべて込めた商品として発売した」(船田氏)

一番人気の「苺のショートケーキ」(529円)。いちごが美しく見える断面も、職人のこだわりだ(撮影:尾形文繁)

工場とはいっても、具材をスポンジに挟む、ケーキに生クリームを絞るなど、職人が手作業で行う工程も多い。トレンドを取り入れながら、どこまで機械で作り、どこから職人が作るかのバランスを考えるのも、開発では重要だという。

全国の店で同じものを、求めやすい価格で提供するには、当然ながら機械でできる部分を多くすることになる。それでいて、洋菓子らしい美しさ、繊細さがなくてはならない。両者を両立させるのが、コージーコーナーならではの職人の技術だそうだ。

今回の高級ケーキプロジェクトは、こうした職人の技術、こだわりなどを思う存分発揮できるよう、船田氏の号令で実現した。

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