訴訟以外の法務需要は増えていない
――法曹人口はすでに過剰だという見方ですね。
既存の弁護士事務所の主要業務は訴訟だ。訴訟件数は過払い訴訟を除外しても横ばいからやや減少している中で、弁護士の数だけは爆発的に増えている。裁判官や検察官は今もほとんど人数を増やしておらず、合格者数増の受け皿となったのは弁護士だけだ。
――訴訟以外の業務が増えているのでは?
もともと増えるだろうから法曹人口を増やすべきだという話だったが、増えてはいない。中小企業向け案件が増えるというから、日弁連の中小企業法律相談センターが、「ひまわりほっとダイヤル」を開設し、問い合わせをしてきた人の最寄りの弁護士会に振る形の相談窓口を設けたが、相談はまったくと言っていいほどなかった。
中小企業、IT、国際化、法令の複雑化といったキーワードで法務需要が増えるであろう、という楽観的かつ官僚的な抽象論だけで人数を増やしてしまった。それに、もし実際に法務需要が増えているのなら、既存事務所が採用を増やすはずなのに、全然増やしていない。
司法修習終了直後の一斉登録時に弁護士登録をしていない新人は増加の一途だ。私は法曹人口は社会の法務需要の増減に応じて増減させればいいと思っているが、現状では明らかに過剰。事実から目を背けてはいけない。
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