『凛として時雨』TK流"才能がない"仕事の原動力 「完成しないからこそ、20年続けられた」

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TKさんが考える「才能がある人」は、「自分にないものを持つ人」を指すという。

TKさん:自分に備わった素質は「当たり前」だからよくわからないし、人が持つ才能を努力して獲得したときにはもう「当たり前」になっていて気づけない。

そういう意味では、僕が才能を感じることは一生ないんだと思います。

そんな予感を抱きながらも、「自分だけが持つ特別なものとはなんだろう」「自分にしかできない表現ができているのだろうか」という終わりのない問いを、TKさんは20年以上にわたり自らに突きつけ続けてきた。

それができた理由は、著書にもある「才能がないのに音楽を作れる才能」という言葉に隠されている。

TKさん:才能がない、なんて言いましたけど、「自分なら最高の音楽が作れるはず」って自信は根底にずっとあるんですよ。

僕に唯一才能があるとしたら、自分の信じている理想に到達するまで、諦めずに研ぐことができる力なのかなと思います。

どんなに苦しくても音楽を辞めるという選択肢すら出て来ないのは、その自分の感覚が間違ってないと確かめたいから、かもしれません。

「自己満足」を追求できることがプロの条件

(撮影/岡田貴之)

20歳の頃、J-POPに魅せられ、親の反対を押し切って音楽の世界に飛び込んだ。

「自分には音楽しかない」

当時感じたこの強い思いこそが、彼の音楽活動の原点だ。

自分が信じる最高の音楽を生み出せるまで、ただひたすら努力を重ねる。最高の音楽への飽くなき探究心は、20年を経て「一流」と呼ばれるようになってもなお、尽きることはない。

TKさん:僕が創作においてもっとも大切にしてることは、自分が作った音楽に興奮できるかどうか。

その一心でもがくうちに、少し前の自分が見ていた理想に到達していることもあるかもしれない。

でも、その頃には興奮できる音楽も理想も、また1つ上のレベルに上がっているんですよ。僕は常に新しい場所に行きたいと思っているから。
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