なぜ「宮崎弁丸出し」のGILLEは魅力的なのか AKB48英語カバーのあの歌手が世界一へ挑戦

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ダイヤモンドボイスで世界一を目指すGILLEの魅力は、こてこての「宮崎弁」で話すことだ(写真:GAKUONユニティ・フェイス提供)

「てげ好きっちゃが!」「知っちょる?」「そうやっちゃ!」「じゃがじゃが!」・・。あなたは、こんな温かみのある宮崎弁をご存じだろうか?

もし、どこかで宮崎弁を聞いたことがあるとすれば、それはたぶん東国原英夫・元宮崎県知事の言葉だろう。九州の方言は独特のものが多いが、宮崎県も他県に負けず劣らず。宮崎の中でも、県北の言葉は大分の方言に近く、県南の言葉は鹿児島の方言に近いともいわれる。

さまざまな批判はあるが、東国原氏は宮崎県知事時代、「どげんかせんといかん!」という方言に代表される宮崎弁で熱弁、「全国区」でも不思議な光を放っていたことがある。これは政策の中身というよりは、彼が宮崎弁を堂々としゃべることで、自信に満ちた、「個性あふれる自分」を表現できていたことが大きい。県民は一時的にせよ、そんな知事を支持していた時代があった。

「こてこての宮崎弁」で世界観を表現するGILLE

実はもう一人、「濃い宮崎弁」を堂々と話し、行く先々でファンを魅了する「気さくなグローバル宮崎人」がいる。2012年、ユーチューブでAKB48の「フライングゲット」を英語でカバーし、「謎の女性歌手」として話題になったGILLE(ジル)である。

彼女は今年3月、アジア最大級の音楽の祭典であり、世界への登竜門の性格もあわせもつ「香港アジアポップミュージックフェスティバル2015」で、見事日本人初のグランプリという快挙を成し遂げた。 実際、彼女の実力からすれば、世界の第一線で大活躍することもそう遠い日ではない。

もちろん、誰もが挙げることだが、彼女の魅力は「ダイヤモンドボイス」と呼ばれる、その歌唱力にある。スマホやCDなどでも十分すごいとわかるのだが、ライブに行くと、その迫力に誰もが圧倒される。「口パク」が当たり前の時代、「録音され、調整された音声」よりも、ライブの方がうまく聞こえる歌手が日本に何人いるのだろうかと思うと、なおさらだ。

しかし、彼女のアーティストとしての魅力を一段と引き立てているもの、それが「こてこての宮崎弁」なのだ。これもライブに行くとわかるが、ジルは宮崎弁丸出しのトークをする。

彼女の宮崎弁は、温かく、自信に満ちあふれている。なによりも彼女の「素の気持ち」がダイレクトに伝わってくる。楽曲だけではない、宮崎弁で「素の気持ち」を伝える力こそが、彼女の世界観の源泉だ。飾らない素の自分を表現することで、より多くのファンの心をつかんでいる。

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