地方創生の限界は、いったいどこにあるのか 自治体問題の権威が安倍政権の政策に警鐘
「増田レポート」が各自治体の危機感をあおった
――「地方創生」の議論を盛り上げたのは、昨年5月に日本創成会議(座長:増田寛也氏)の人口減少問題検討分科会から出た報告、「ストップ少子化・地方元気戦略」――いわゆる「増田レポート」でした。
増田レポートで示された推計は、「2040年までに全国1799市区町村のうち半数の896市区町村が消滅する可能性がある」というショッキングな内容だった。インパクトは大きく、全国の自治体関係者の危機感をあおった。
増田レポートは周到に準備され、タイミングよく世に出た。発表の前に、増田氏と菅義偉官房長官とのすり合わせがあった。菅氏と増田氏は、第1次安倍内閣の時代にともに総務大臣を務めた「ツーカー」の仲だ。安倍晋三首相が目指す、「道州制」についてもよく理解している。
昨年5月の発表に先立って、日本創成会議は、新聞とテレビの主要社に対し、消滅の可能性があるとした自治体のデータを事前送付した。増田氏らの予想どおり、メディア関係者は敏感に反応した。とりわけ地方紙の多くが衝撃を持ってこのデータを1面トップに掲載したことで、自治体消滅、地方消滅をめぐる議論が一気に加熱した。文字通り「ショック・ドクトリン」です。
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