孫社長の卓越した「コミュ力」の秘密とは?

すぐにノーとは言わない「受信力」

孫さんのコミュ力の高さには「聞く力」が隠されていた(撮影:尾形文繁)

コミュ力の高いことでよく名前が挙がる日本の経営者と言えば、ソフトバンクの孫正義社長だろう。プレゼンの舞台での堂々とした振る舞いや英語力、表現力など日本人離れしたスキルが高く評価されているが、細かい分析はまたの機会にするとして、孫さんのコミュ力の奥義に触れるエピソードをひとつご紹介したい。

すぐにノーと言わない

「孫さんのすごいのは、決してすぐにノーと言わないことなんだよね。とにかく、人の話をよく聞く。そしてその内容を否定することなく、きっちり受け止めてからコメントするんだ」

孫さんをよく知る知人がこんな話をしていた。

筆者もソフトバンクがモバイル事業を始めるずっと前から記者として、孫さんを追いかけ、何度となく話をしたのだが、こうした側面には気づかなかった。孫さんには、何度夜回りしても、インタビューしても、いつもなんとなく、核心をはぐらかされ、煙に巻かれて、苦労することも多かったのだが、腹が立ったり、嫌気がさすこともなかった。それは、何より、いつ取材に行っても、人を見下したり、バカにするような「傲慢さ」を感じることがなかったこともあるが、今にして思えば、いつも笑顔で、こちらの言うことを受け止める孫さんの「聞く力」に転がされていたのかもしれない。

経営者や政治家の中には高い「発信力」を持つ人もいる。橋下徹大阪市長もそのひとりだろう。派手な発信力をテコに、話題を振りまき、注目を集めることができるのはひとつの武器だ。しかし、発信力以上に大切なものがある。それが「受信力」だ。

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