24時間テレビ「募金着服」よりマズい最大の問題 すでに番組そのものが時代に合ってない可能性

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着服金の内訳は、同社資金から853万6555円、「24時間テレビ」寄付金から264万6020円。元局長が同社への税務調査をおそれ、みずから11月初めに申告したことから発覚し、その後の社内調査で寄付金の着服もわかったという。

調査によると、元局長の着服は2014年に開始。寄付金からは2014〜20年の7年連続と、今年(2023年)に着服されていた。募金終了後に、本社内で保管していた募金の一部を、みずからの銀行口座に入れていたという。

会長が辞任、社長は報酬返上

今回の不正発覚を受けて、代表取締役会長の田口晃也氏は辞任、同社長の西嶌一泰氏は報酬返上する。着服された金については、すでに448万4200円が返還されており、元局長は残金も弁済すると話しているそうだ。なお寄付金については全額、日本海テレビが責任をもって、24時間テレビチャリティー委員会に届けるとしている。

発表を受けて、メディア各社の報道が相次ぎ、SNSでは「10年間も気づかないなんて」といった声から、鳥取・島根のローカル系列局である「日本海テレビ」と、在京キー局の「日本テレビ」を混同する反応まで。幅広い角度からの投稿が出ているが、いずれも「言語道断」と切り捨てる論調だ。

そもそも、今回の事案は「募金着服」のインパクトが強すぎるが、それを抜きにしても、不祥事としては大きい。とくに初めての着服から、10年間にわたり不正が見過ごされ、本人の申し出でようやく発覚したという経緯は、日頃から「真実をありのままに伝える」ことを期待されている報道機関としては、致命傷に近いのではとすら感じる。

発表文では着服した動機について、当初は「親族のために金を用立てる必要があった」としつつ、「後輩らを連れてよく飲み歩き、スロットも好きだったといい、こうした金に使った」との見解も示されている。あまり謝罪文では、このような記述を見ないが、それだけ「個人的な不正」と印象づけたいのだろうか。

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