ココナッツオイルがここまで人気を呼ぶ理由 1本2000円超の食用油が激売れ!

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スーパーの食品売り場では、お酒などを除き4ケタの価格帯の商品を見ることはまれです。特に、油の売り場は世帯人数の減少や健康志向の高まり、総菜売り場で揚げ物を購入する人も増えたことなどから、1リットル超えの大きなサラダ油を購入する家庭も減り、600グラムで500円前後の健康オイル系が主流になっています。

そんな中、売り場のスペースを取らない地味なびん詰めオイルが2000円超えでも売り切れが出るほど動くというのなら、小売業にとってもかなりの利益商材になっているはずです。

美容に健康に万能のオイル

ココナッツオイルが売れている理由のひとつが「中鎖脂肪酸」が豊富である点です。中鎖脂肪酸はココナッツやパームフルーツなどヤシ科の植物に含まれる天然成分です。母乳や牛乳にも含まれており、一般的な油脂に含まれる長鎖脂肪酸と比べて水になじみやすく、長鎖脂肪酸の約5倍のスピードで消化・吸収されて効率よくエネルギーになります。また脂肪の燃焼を助けてくれるという点で、ダイエット効果が期待できると言われています。

「アンチエイジングフード」として注目されるココナッツオイル。パンに塗ったりコーヒーに入れたりと、サプリメント的な取り入れ方が広がっているという。(写真:youko/PIXTA)

女性にとってビタミンEが豊富で抗酸化作用のあるココナッツオイルは身体や顔はもちろん、頭皮や髪にも使えるということから美肌やアンチエイジングなど、美容面でも人気があります。ココナッツが原料だけに原産国はタイやフィリピンなど南国が中心。抽出方法やオーガニック認定など内容はもちろん、小じゃれたパッケージにも注目が集まります。

基本的には油なので、摂りすぎには注意が必要ですが、料理に取り入れるのはもちろん、コーヒーなどの飲み物に入れたり、パンに塗ったり、加熱せずに生のまま摂取したりというサプリメント的な使い方が広がっています。

ココナッツオイルに注目しているのは美意識の高い女性陣だけではありません。高齢化に伴い増え続けている「認知症」。2012年の厚労省調べによると、国内の65歳以上の認知症患者は約462万人、その予備軍である軽度認知障害は約400万人。合算すると65歳以上の約4人に1人の割合となります。認知症の中でも、日本では特にアルツハイマー型が多いと言われ、脳の栄養不足などについての研究が進んでいます。

ココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸は、近年の研究により脳がエネルギー源として使うブドウ糖が不足したときの代替となるケトン体を効率よく作ることがわかってきました。

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