物流大手が「脱・多重下請け」へタッグを組んだ セイノー傘下「ハコベル」に出資が相次ぐ事情

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さまざまな仕組み改善を進めるラクスルの新規事業として生まれたハコベル。悪習が定着した物流業界を変えられるのか(記者撮影)

物流の大手企業が集まり、出資を決めた“マッチングサービス”がある。

「カンガルー便」などを展開する物流大手セイノーホールディングス(HD)傘下のハコベルは、荷主と運送会社をつなぐサービスを運営している。ハコベルは10月31日に第三者割当増資を実施し、山九、福山通運、日本ロジテムの3社が新たに資本参加した。いずれも法人向けに強い業界の有名企業で、3社合計の出資比率は20%となる。

ハコベルはネット印刷を展開するラクスルが、2015年に新規事業として立ち上げた。2022年8月にセイノーHD傘下となり、ラクスルとのジョイントベンチャーとして会社の垣根を越えて広く利用を呼びかけている。

これまでも物流業界に対しては、多くのベンチャー企業が課題解決サービスを投入してきたが浸透には至らなかった。それだけ根深い問題を抱えてきたと言えるが、今回3社が出資を決めた背景には危機感がある。

2024年問題だけじゃない

物流業界は残業規制で人手不足が加速する「2024年問題」が迫っている。にもかかわらず、多重下請け構造や煩雑な配車手続き・運行管理など、非効率な業務が慣習化しているのが実態だ。

荷主が運送会社に依頼した荷物は、2次下請け、3次下請け、そのさらに下請けへと流れていく。間には「水屋」と呼ばれるブローカーが暗躍し、マージンを抜かれ、末端のドライバーは低採算の仕事を強いられる。多重下請け構造の物流業界では、そんな取引が横行している。

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