20代の「エンジニア女子」が絶対やるべきこと ウェブ業界で活躍する先輩がアドバイス

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それを聞いた菅沼さんが「そんなことないよ」と否定する。「女性はライフイベントによって仕事をセーブする時期が発生する。そのときに向けて自分のキャリアをどう築いていくのか、今から考えておくのは当然です」。

20代のうちにやっておくべきこととは

20代エンジニア女子会に集まった8人のエンジニアと菅沼さん。みんなで10年後の理想の生活について語り合った

女性がエンジニアとして仕事を続けていくためには、どのような選択肢があるのだろうか。菅沼さんは、集まった後輩たちに3つの提案をした。

1つは、そのまま開発エンジニアとしてキャリアを積んでスペシャリストになること。2つ目は、マネジメントとしてのキャリアチェンジを図ること。そして3つ目には、エンジニアとしての技術的な知見を生かしたほかの職種にキャリアチェンジを図ることだ。

スペシャリストは、プロフェッショナルとしてモノづくりの現場に携わり続ける。ただしそのためには、日進月歩の技術の最先端をつねにキャッチアップしていかなければならない。一方、プロジェクトマネジャーなどの立場では、技術的な知見を基にプロジェクト全体を管理する。スペシャリストほど最先端の技術を身につけておく必要はないため、ブランクができてもある程度は対応できる。女性はマネジメントラインに乗ることを選択する人が多いようだ。

ただし、将来的にどのような選択肢を取るにしても、菅沼さんが20代のうちにやっておいてよかったことがいくつかあるという。

・新しい技術を学ぶ癖をつけられたこと
・1つのことを極める重要性を学んだこと
・技術に加えてコミュニケーションによって社内外からの信頼残高を積み重ねたこと
・大きなミッションを夢中でやり遂げたこと

 

「まとめると、エンジニアとしての知見、信頼残高、技術好奇心です。この3点があれば、ライフスタイルに変化があっても柔軟にキャリアを築いていけると考えています」(菅沼さん)。

それを聞いたFさんは「育児中はフリーランスで働いて、落ち着いた頃にマネジメントとして会社に戻りたいと漠然と考えていましたが、そのためにはもっと技術を身につけなければだめですね」と言う。

また、菅沼さんの話を盛んにうなずきながら聞いていた参加者のTさん(26)は「私はモノを作るのが好き。ずっとこの仕事を続けるために今からやることが明確になりました。仕事、がんばります!」と満足そうに語る。エンジニアの職場は今、大きな変化のまっただ中といえそうだ。

堀越 千代 東洋経済 記者

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ほりこし ちよ / Chiyo Horikoshi

1976年生まれ。2006年に東洋経済新報社入社。08年より『週刊東洋経済』編集部で、流通、医療・介護、自己啓発など幅広い分野の特集を担当してきた。14年10月より新事業開発の専任となり、16年7月に新媒体『ハレタル』をオープン。Webサイト、イベント、コンセプトマガジンを通して、子育て中の女性に向けた情報を発信している

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