武田薬品がスイス大手を買収、業績ジリ貧に歯止め

武田薬品がスイス大手を買収、業績ジリ貧に歯止め

巨額のM&Aが舞い込んできた。武田薬品工業は、スイスの製薬大手ナイコメッドを96億ユーロ(約1兆1000億円)で買うことで、大株主の投資ファンドと合意。これは日本企業による海外企業買収で、第3位に入る規模だ。

非上場企業であるナイコメッドの純資産は約15億ユーロ(2010年12月期)。いかに買収金額が大きいかわかろう。武田が今後、多額ののれん代償却に迫られるのは確実。事実上の無借金経営で、8000億円以上の手元流動性を誇りながら、6000億円を上回る新規借り入れを余儀なくされる。それでも買収に踏み切ったのは、売上高の“ジリ貧”見通しに、これ以上、手をこまぬくわけにはいかない事情があった。

ここ数年間、糖尿病治療薬「アクトス」の米国特許切れ問題への対応は、武田にとって最重要の経営課題だったといえる。米州での売上高が3062億円(11年3月期)に上るアクトスは、連結売上高1兆4000億円の武田からすれば、大きな稼ぎ頭だ。しかし、米国でジェネリック医薬品(後発医薬品)参入が始まる12年8月以降、売上高の激減は避けられない。

5月11日に武田が発表した中期経営計画。14年3月期には、連結売上高が11年3月期比で11%減の1兆2600億円、営業利益が35%減の2400億円に落ち込む、との見通しを立てていた。グローバル展開の製薬企業にとって、右肩下がりの経営計画などもってのほかだ。新薬の開発がうまくいかない中、新たな企業の取り込みなしには窮地を脱することができないところまで、武田は追い込まれていた。

ならばナイコメッド買収で、武田の業績トレンドはどう変わるのか。とりあえず14年3月期に売上高が大幅減となる事態は回避できそうだ(下図)。懸案だった欧州での販売拡大に加えて、最成長市場の新興国でも販売網を手に入れる。


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