「客単価4356円」女店主が営むラーメン店の秘訣 住所非公開・完全予約制なのに繁盛のワケ

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人気店出身の矢嶋さんが、なぜ「住所非公開・完全予約制」のお店を作ったのか。

「閑静な住宅街の中にお店を作るということで、店の前に行列を作ることは難しいだろうなと思いました。そうなると“記帳制”にするか“予約制”にするしかないのですが、記帳制の場合は待っていただく間に周りに時間をつぶす場所があることが条件になってきます。

ここは駅から遠いですし住宅街なので、記帳制は難しく、結果、予約制にするしかなかったという事情があります」(矢嶋さん)

過去の経験から「コースにする」アイデアが湧いた

予約制とはいえラーメンだけでやっていく場合は1日何十杯分も予約を取らなければならない。ラーメンだけだと単価を上げるにも限界があり、全体の売り上げのことを考えると杯数を稼がなければならないからだ。

ここで矢嶋さんが思い出したのが、以前やっていた「雲のきれま」というお店での経験だ。このお店ではラーメンとかき氷を提供していたのだが、2品ともレギュラーサイズで注文するお客さんが多く、 しっかりとした客単価で営業することができていた。これを応用し、前菜やご飯、デザートも含めたコースにしたらいいのではないかというアイデアが湧いてきた。

「製麺も1人でやっているのですが、100玉分の製麺をするのは女性の私にはそもそも体力的に無理だったんです。今やっている30玉ぐらいが限界かなと感じています。量が作れない以上、ラーメン一本でやることは難しく、結果このスタイルになるべくしてなったのかなと思います」(矢嶋さん)

お客さんがしっかり集まって、スタッフもいて、行列が作れる場所であれば、ラーメン一本に絞って席を回転させていくほうが儲かるかもしれないが、現実的にできることを考えるとこのスタイルがベストという決断になった。

また、「中華蕎麦 とみ田」や「らぁ麺 飯田商店」など、予約制のお店もだんだんと出てきているし、完全予約制でコースで食べてもらうラーメン店があってもいいのでは……という仮説もあった。

次ページ来店時にお客が次回を予約、すでに予約困難店に
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