ヤマト、パート社員が労組結成「モノ扱いしないで」 日本郵便への業務移管後に完全解雇で憤怒の声

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投函ビジネスの移管を進めるヤマト。日本郵便との連携が重要だが、パート社員の解雇問題に揺れている(撮影:今井康一)

「十数年働いてきたベテランが多く、この年齢で就職先を見つけるのは難しい」「パートさんは何百人もいるが、メール便を担当している私たちだけが全員クビになるのはおかしい」「私たちの声なんて、聞いてもらえないんだと思っていた」

ヤマト運輸のパート社員達は、口々に不安と不満の声を漏らした。

10月13日、ヤマト運輸の茨城ベース(茨城県土浦市)でメール便の仕分け業務などを担当するパート社員18人は、労働組合「ヤマト運輸茨城班」を結成した。現在、会社側から2024年1月末での契約終了を迫られており、撤回を求めて交渉していく。

林野さつき委員長は「現場の上司には権限がなく、説明も転々として仕方がない。公の場で上の人たちに出てきてもらって話し合いたい」と語った。

ヤマトは6月、メール便や小型荷物の投函ビジネスを日本郵便に委託することを決め、10月からは実務の連携もスタートしている。なぜこんな事態に陥ったのか。

トップが支援を「約束」したものの

ヤマトと日本郵便の協業で、カタログやパンフレットなどを投函するダイレクトメール「クロネコDM便」は2024年1月に終了し「クロネコゆうメール」に変わる。ヤマトは集荷のみを行い、配達業務は日本郵便に委託することになった。

つまり、今後は仕分けなどの業務も日本郵便が行うことになる。そこで、パート社員との契約を2024年1月で打ち切ろうとしているわけだ。

実務を託してきたスタッフについて、ヤマトの長尾裕社長は6月19日の会見でこう話していた。「当社から業務がなくなっていくので、次のキャリアをどう作っていくか、全力でサポートを推進していく。丁寧に進めて参りたい」

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