DRAM価格、高値安定から下落が始まった理由 パソコン、スマホ向け半導体メモリに異変

拡大
縮小

ただ足元では、DRAMの需要を牽引してきたスマホ市場が変調を来し始めている。アップルのiPhoneは好調を維持しているものの、中国経済の減速やサムスンのギャラクシーの販売不振などにより、全体の市場拡大ペースが鈍化しているのだ。

また、需要の急拡大を受けたDRAMメーカー各社の増産投資もあり、需給面での逼迫感が和らいでいる。つれて価格のほうも2014年末ごろから反落し始めた。

次世代製品が価格押し上げも

しかし、商品サイクルの短い半導体業界では、DDR3の次世代製品であるDDR4の普及が進みつつある。DDR3に比べてデータ転送速度が倍増し、サーバー用途ではすでに採用が拡大。今後はスマホ向けの採用が本格的に拡大しそうだ。

調査会社IHSグローバルの南川明主席アナリストは、「現時点でDDR4のスマホ向けの採用は、一部の上位機種に限られている。しかし、年末の新製品からは、ボリュームゾーンとなる中位機種でも採用が増えてくるだろう」と予測する。

サーバー向けでは、DDR4はDDR3より約10%単価が高くなっている。スマホ向けでもDDR4の採用が増えてくれば、DRAM全体としては、単価が持ち直す可能性がある。

「週刊東洋経済」2015年5月30日号<25日発売>「価格を読む」を転載)

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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