ジャニーズ、にじみ出る「怒り」が危険である理由 「NGリスト」騒動よりもっと深刻な問題

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3)10月2日は企業の内定式が多く開催されており、フォーシーズンズホテル東京大手町を確保できたものの、会見時間としては2時間程度しか確保できなかった。
4)9月30日の打ち合わせでFTIから「指名NG記者リスト」などの資料が出され、井ノ原快彦の「当てないとだめですよ」という発言があった。これにFTIは「『指名しない』のではなく『要注意』として発言順序を留意する」という意味と回答した。
5)FTIは会見当日の10時40分ごろにリストを作成して、会場ビルのコンビニで印刷し、現場で司会者とFTI担当者が所有。さらに、プロジェクトのLINEグループとイベント運営会社の受付担当者計17名のLINEグループで共有された。
6)リストはジャニーズ事務所と弁護士の了解を取らないまま、独断で作成して共有されたものであり、マスコミから問い合わせを受けるまで知らなかった。
7)会見では、「氏名候補記者」と「氏名NG記者」のどちらも約5割を指名し、むしろ後者のほうが質問数も対応時間も上回っていた。

山田将之CCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)による関係者へのヒアリングをベースにしたものだけあって、文書は時系列で細部まで記載され、多少の不満があったとしても、追加の質問を要するような不足は感じさせませんでした。

また、5で挙げたFTIのマネジメントはプロとは思えない杜撰なものだけに、「管理責任はあるのはわかっているが、それでもしっかり釈明しておきたい」という思いがひしひしと伝わってきます。ジャニーズ事務所にしてみれば、「弁護士から紹介された会社がひどい仕事をして迷惑を被った」と言いたいのでしょう。

2トップの経験とスキル不足を立証

しかし皮肉にも、その釈明がガバナンスの甘さを裏付ける形になってしまいました。ビジネスパーソンから見たら今回の件は、「管理責任があることくらいわからなかったのか」「使った業者が悪ければ責任を負うのは経営者」と感じるのではないでしょうか。

深刻なのは、会見のときから言われ続けてきた「新体制のトップ2人が経営の経験やスキルのないタレントでは厳しい」という声を立証してしまったこと。2人への懸念が増し、信頼性に欠ける状態で、被害者救済や再発防止、新体制のガバナンスをスタートさせることになってしまうことが致命的なのです。

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