【産業天気図・ソフト/サービス】単価下落は苛烈だが、昨年のどん底からは回復へ

「受注はいくらでも取れるが人が足りない」。長らく低迷が続いてきたソフト・サービス業界でも、こうした明るいコメントが聞かれるようになってきた。経済産業省の特定サービス産業動態統計によれば、2005年4~9月の情報サービス業売上高は、前年同期比2.1%増の4兆4323億円。絶好調と言えるほどの数字ではないが、昨年のどん底は脱したと言えよう。
 ただ、受注数が拡大しても、単価下落は依然として苛烈。マーケットの環境が好転したと言っても、全ての企業が潤っているわけではない。むしろ企業間の格差は徐々に広がり始めている。強い企業と弱い企業を分けるキーワードは、「得意分野」と「採算重視」の2つだ。
 たとえば、好調組について見ると、野村総合研究所<4307.東証>は証券業界、伊藤忠テクノサイエンス<4739.東証>は通信業界、そして、NTTデータ<9613.東証>は公共分野という風に、それぞれ得意な業界を持っている。彼らのように、特定の分野で確固たる地位を築いていれば、同業他社と泥沼の受注競争を繰り広げる必要がなくなり、価格低下のダメージも浅い。逆に、住商情報システム<9719.東証>、日本ユニシス<8056.東証>など業績予想の下方修正に追い込まれた企業は、不採算案件抑制のシステム造りが遅れており、受注拡大を収益拡大につなぎきれていない。
 メーカー系では、富士通<6702.東証>、日立製作所<6501.東証>ともに回復トレンド。昨期の不採算案件が消え、収益は改善に向かっている。また、NEC<6701.東証>も安定成長を続けている。
 2007年3月期も、情報サービス業界は高水準の受注にありつけるはずだ。収益環境の好転により、一般企業のIT投資意欲が製造業だけでなく他業種でも高揚。公共分野についても「今後3年はレガシーシステムの更新需要により、市場規模は拡大する」(NTTデータ幹部)。さらに金融分野でも、都銀、地銀を軸に大型のシステム投資が徐々に出てくるはずだ。ただ、東証システムで相次いで失態を演じた富士通は、金融向けシステムの受注競争で、苦しい戦いを強いられることになるだろう。
【佐々木紀彦記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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