ジャニーズ「新会社設立」が起死回生に有効なワケ 「社名変更」よりもずっと重要なことがある

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少し話がややこしくなるので、以下に筆者が考える理想の形を示してみた。

(図:各種資料を元に筆者作成)

(外部配信先では図が表示されないことがあります。その場合は、東洋経済オンラインのオリジナルサイトでご覧ください)

この方法論を取れば、新たに会社を立て、所属タレントは全員そちらに移籍させ、芸能活動は新会社のほうで行うことになる。

新会社の名前は「ジャニーズ」を想起させない新名称にする必要があるだろう。

株主の51%以上をジャニーズ事務所とは関係ない第三者が保有すれば、藤島家の同族支配から脱することができるし、藤島ジュリー氏の影響力も一定程度、排除される。取締役も、大口株主の企業から派遣するなどして、第三者が名を連ねる。

芸能事務所のビジネスモデルは一般企業とは大きく異なるし、芸能事務所の中でもジャニーズ事務所は独特の企業文化を持っていることを考えると、新会社には事務所内部からも取締役を任命する必要はあるかもしれない。井ノ原快彦氏をはじめ、大御所のタレントが取締役に名を連ねることになるかもしれないが、その点は大きな問題にはならないだろう。

上記のような体制が整えば、広告や番組に起用する企業やメディアなどの、取引先企業にとっても、「ジャニーズ事務所とは違う会社と取引をする」ということになるので、取引を行うことの障壁は低くなる。

被害者の補償・救済に特化する

一方で、元のジャニーズ事務所は、被害者の救済・補償に特化する「専門会社」として存続する。取締役、および株主は藤島ジュリー氏が務めることには問題ないし、望ましいことでもある。

「ジャニーズ性加害問題当事者の会」のメンバー、そのほかの被害者の多くは、「藤島ジュリー氏は社長、大株主に留まって、被害者の補償と救済に取り組んでほしい」と考えている。彼らは藤島ジュリー氏が被害者に十分に向き合わず「逃げる」ことを懸念しているのもあるだろう。

藤島ジュリー氏は旧会社の経営者、およびオーナーとして留まることで、被害者にも誠実に向き合うという姿勢を伝えることができる。

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