ジャニーズ「新会社設立」が起死回生に有効なワケ 「社名変更」よりもずっと重要なことがある

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社名変更については、物理的な手続きやコスト面ばかりに注目が集まりすぎている感もある。「ジャニーズ」というのは、単に社名であるだけでなく、多くのグループ名にも冠されている。出版物や公式グッズには、社名やロゴが印字されている。これらをすべて変更するのには、確かに多大なコストと労力を要する。

ジャニーズにかわるブランドをいかに構築できるか(写真:yu_photo/PIXTA)

一方、忘れてはならないのは、「ジャニーズ」というのは非常に強力な「ブランド」であり、社名変更に伴って「ブランドの再構築」を行う必要があるということだ。

「ジャニーズ」というブランドは、作り手(事務所やタレント)と受け手(ファンや視聴者)の長い関係によって構築されてきた。

それを一から作り直すことは、そう容易ではないし、物理的に新社名に入れ替えた時点で終了するわけではない。すべての人々がそれを受け入れた段階で、新名称は「ブランド」として機能する。

そのためには、事務所側は物理的コストの何倍もの「見えないコスト」を支払う必要があるだろうし、かなりの時間も要するだろう。

しかし、これは事務所が必ずやらなければならないことだ。

すべての問題を解決するのは「新会社の設立」か

ジャニーズ事務所が公表した残り3つの課題、藤島氏保有の株の扱い、被害者補償、所属タレントや社員の未来についてはどうなるのだろうか?

事務所側の公式発表にはないが、一部のメディアでは、「新会社を設立する」という報道がなされている。経済アナリストの森永卓郎氏も、テレビ番組の中で、「一番きれいな解決策」として同様の方法を提案している。

筆者自身も、これは「ジャニーズが抱えている問題を一気に解決できるかもしれない秘策」ではないかと考えている。

現状においては、通常の芸能事務所としての活動と、被害者へ向き合い保障していくという2つの活動が、相互に影響を及ぼし、それぞれの動きを鈍らせている。そこが解決できない限り、ジャニーズ事務所の復活はおぼつかないどころか、衰退につながる道から脱することさえ困難である。

この手法のポイントは、被害者の救済・補償を専門に行う会社(旧ジャニーズ事務所)と、芸能活動をマネジメントする芸能事務所(新会社)とに切り分けて、別々に活動するということだと考える。

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