新登場「アクティブETF」に投資してもいいのか? 「売買しやすいテーマファンド」ではつまらない

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今回、最初に上場された6本のアクティブETFは、比較的おとなしい印象だ。成長株でのオーソドックスなアクティブ運用をうたう商品が1つあるが、予想配当利回りが高い「高配当」を掲げる商品が2つ、「PBR(株価純資産倍率)1倍割れ解消」「政策保有株解消推進」「投資家経営者一心同体」など何らかのコンセプトによる銘柄選択を訴えるファンドが3本だ。

今後「売買しやすいテーマファンド」が増える?

ETFと一般の公募投信の主なちがいは以下のようなものだ。

(1) ETFは上場株式のように価格を見て売買できる
(2) ETFは通常は株式と同じ売買手数料が必要だ
(3) ETFは原則として毎日構成銘柄が確認できる
(4) ETFは傾向として信託報酬が公募投信よりも安い

信託報酬を安くできるのは、ETFは信託報酬の中から販売会社に対して支払う「代行手数料」(信託報酬の4〜5割程度)が必要ないことが主な理由だろう。

公募の投信には販売手数料がゼロの「ノーロード」のファンドもあるなど、比較は時に複雑だが、「いったん買ってしまったら長期保有すればいい」と考えて行動する投資家にとっては、ETFがより低廉なコストの投資手段になることがある。

また、上場株式と同様、貸株の対象にできるので、品貸し料を稼ぐこともできる。不人気で残高が集まらず、売買も不活発なETFは、上場廃止になってしまうリスクがあるので、十分な資産残高があるかどうかと、売買の活況度は少し気にしたほうがいいが、投資家にとっては有効な投資手段だ。

運用会社の商品企画担当者は、新商品を作らないと仕事にならないと思っている場合が多いし、新商品を作ることが好きなので、アクティブETFには今後多数の商品が出てくるだろう。

いかにもありそうで、こうなるとツマラナイなあと思うのは、特定の投資テーマを掲げながら集中度の大きいポートフォリオを作って「テーマファンド」型のETFをローンチして(立ち上げて)、人気化したもの(数を打てば、いくつかは当たるだろう)を頻繁な売買の対象とするような商品戦略と営業戦略の組み合わせだ。いわば「トレーディングしやすいテーマファンド」としてアクティブETFを扱う。

例えば、「生成AI関連」といったコンセプトで、生成AIをビジネスとして扱う企業を集めて、集中度の高いテーマファンドを作る。その中の1~2銘柄が大当たりすると、それなりに人気化するかもしれない。銘柄を分析して投資対象を絞り込むのが面倒くさい投資家と、個別銘柄の説明が面倒くさいセールスマンが出会って、「取りあえず、○○関連を買ってみるか」とだけ考えて短期売買に励むような場面が目に浮かぶ。

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