孫正義はいかにしてジョブズを口説いたか 交渉前に勝負を決める交渉術
5月11日に行われたソフトバンクの2015年3月期の決算発表会の内容は、売上高が前期比30%増で8.7兆円、純利益は前期比29%増で6684億円だった。これで、ソフトバンクの業績は5年連続で過去最高を更新することとなる。
また、ソフトバンク本体の社名を「ソフトバンクグループ」に変更することも発表された。これは、国内の携帯電話事業が利益を生む事業として安定したことを受けて、世界展開を積極化する戦略を踏まえたものだ。ソフトバンクは国内の携帯電話事業を完成させ、次のステップに踏み出したと言えるだろう。
Microsoft、Yahoo!、Appleを射止めたソフトバンク
ソフトバンクの躍進のきっかけとなったのは、2008年7月からのアップル社iPhoneの独占販売開始だった。iPhoneなくして、ソフトバンクがNTTドコモやauと競争して現在のポジションを確立することは難しかっただろう。
2008年当時、新聞紙上では、ドコモとソフトバンクのどちらがiPhoneの販売権を獲得するかが注目の的となっていた。両社トップの交渉過程が、アップルの本社のある「クパチーノ詣で」として記事で取りざたされるほどだった。また、ドコモが本命でソフトバンクは当て馬にすぎないとの見方が大方の下馬評だった。
しかし、これに反してソフトバンクがiPhoneの独占販売権を得ることができたのは、孫正義が直接、ジョブズと長期間にわたって関係を構築してきたからだった。実は交渉が始まったときには勝負がついていたのだ。
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