ついに始まった米国「トヨタ信者」のトヨタ離れ EVに買い替えたいのに、その選択肢がない!

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トヨタがアメリカで販売する唯一のフルEVは「bZ4X」というSUVだが、ハブボルトの不具合でホイールが脱落するおそれがあり昨年リコールすることになった。恥ずべき失敗だ。中国では、セダン型のEV「bZ3」も販売している(トヨタのレクサス部門はEVをアメリカで1車種、一部の国では2車種販売している)。

上海から戻ると、トヨタ幹部はEV生産計画のプレゼンテーションを急いで用意するよう従業員に命じた。トヨタは定時株主総会から2週間を切ったタイミングで計画を発表した。この株主総会では、EV展開の遅さに怒りを募らせた株主が気候変動に関するロビー活動の開示を迫る決議案を提出していた。

この株主提案は否決されたものの、異例の異議表明はかつてクリーンテックの模範と称えられたトヨタの旗色が悪くなっていることを示していた。

トヨタは2026年までにフルEVの新モデル10車種をラインナップに加え、2030年までに年間350万台のEV販売を目指すとしている。

テスラ車の価格競争力はすでにトヨタ車に並んだ

だが、EV各社の動きは速い。

テスラは今年約200万台のEV販売に向けて順調に納車を進めており、販売価格約2万5000ドル(約360万円)の新型EVを生産するとみられる工場をメキシコで建設中だ。アメリカではすでにテスラのセダン「モデル3」が、同等の装備を持つトヨタ「カムリ」と同じくらいの価格で販売されている(国と州の補助金適用後)。

BYDはヨーロッパ、ラテンアメリカ、東南アジアなど、中国国外へと急速に勢力を伸ばしている。同社のEVラインナップは幅広く、そこにはトヨタで最も低価格なセダンよりも安い車種や販売価格約15万ドル(約2200万円)のラグジュアリーなマンモスSUVも含まれる。

アップル、グーグル、サムスンが携帯電話業界でノキアとブラックベリーを急速に退場に追い込んだように、テスラとBYDは2026年にははるか先を突っ走り、トヨタは追いつくのに苦戦することになるかもしれないと、一部のアナリストたちは指摘する。

(執筆:Jack Ewing記者、Ben Dooley記者)
(C )The New York Times

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