菅総理の「6月退陣確率」は4割程度

菅総理の「6月退陣確率」は4割程度

塩田潮

 通常国会は6月22日が会期末だ。

 菅政権は大震災発生後、会期の大幅延長を想定していたが、野党や民主党内の菅降ろしの動きを封じるために、延長なしで閉会にするプランが浮上し始めた。

 一方、国民世論はいまも「国難克服最優先。政争ノー」の声が支配的で、野党も反菅勢力も動き出せない状況が続いている。だが、今月26~27日のドービル・サミットが終わり、6月に入れば、空気が変わって政争凍結解除になりそうだ。サミット外交も含め、支持率回復や政権基盤強化のための菅首相の持ち時間は5月いっぱいである。

 会期延長がなければ、最大の攻防は6月に野党側が衆議院に持ち出す内閣不信任案となる。与党で約80人が賛成に回れば成立する。民主党内の嫌菅派は軽く80人を超えていると見られるが、不信任案賛成は民主党政権崩壊、政界大再編を覚悟しなければならない。「嫌菅」でも二の足を踏む議員が多いだろう。

 菅首相には解散・総選挙という対抗策があるが、大震災の3カ月後の解散は実際には禁じ手で、壁は高い。

 解散不可を見越して、80人以上の造反という数を示すことによって辞任に追い込むというのが反菅派のシナリオだが、攻撃手段はそれだけで、反菅派も手詰まり。民主党政権より自身の政権の存続が関心事の「絶対に辞めない菅首相」は、そこを見通して、逃げ切り、延命を図るに違いない。

 6月退陣の確率は4割程度と見るが、造反の構えに対する解散実施のブラフといった火遊びをやっているうちに、本当に大火事となった例は多い。民主党A、民主党B、自民党の3極分解から政界大再編に進む可能性もある。「政争ノー」の世論も次第に「国難克服にはむしろ政治の大変革が必要」という流れに変わるかもしれない。その声に動かされて民主党政権解体に走るのか、それとも1年8カ月前の政権交代の意義を再認識して2大政党の下で党再生の大手術に踏み出すのか。

 民主党は結党以来、最大の危機に直面しそうだが、求心力よりも遠心力が強く働く現状をどうやって打破するかが当面の課題である。
(写真:尾形文繁)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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