シャープ、注目の再建策は「踏み込み不足」 高橋社長が会見、危機脱却への道筋描けず

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謝罪する高橋社長(左)。会見では液晶事業の自前路線にこだわりを示した

「不退転の覚悟で、中計達成に取り組んでいく」

5月14日、シャープ東京支社で開催された、2014年度決算と新中期経営計画の説明会。高橋興三社長は前中期経営計画の未達に対する反省を述べたうえで、新中計達成への覚悟を強調した。

発表されたシャープの前2014年度決算は、売上高2兆7862億円(前々期比4・8%減)、営業損益は480億円の赤字。従来計画は500億円の営業黒字だったが、液晶パネルの在庫評価減や太陽電池材料の引き当てが大きく響き、赤字に転落した。

さらに液晶や電子部品の工場の減損がかさみ、最終損益は2223億円の赤字に転落。2011年度、2012年度は計8000億円もの最終赤字に沈み、経営危機に陥ったが、当時に次ぐ規模の赤字額となった。

財務危機、いまだ去らず

前回の経営危機時に策定した2013~2015年度の中計が未達となり、仕切り直しとなった今回のシャープ新中計のポイントは大きく3つある。

<1>国内約3500人の希望退職や大阪・阿倍野区の本社売却などスリム化による固定費削減、<2>事業体制の5カンパニー制移行による自立経営の促進、<3>成長分野への資源集中など各事業の収益基盤の確立だ。

この新中計策定を受け、みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行のメインバンク2行は、目先の金融支援継続を決定。足元では巨額赤字計上により、自己資本比率は1.5%と“危険水域”に達しているが、シャープは両行向けに計2000億円の優先株を発行。借入金返済に充当し、実質的に債務を株式に振り替える、「デット・エクイティ・スワップ」(DES)を実施する。

また、両行が出資する企業再生ファンド、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズにも、250億円の優先株を発行する見通しだ。6月の株主総会の決議を経て、資本金を現行の1218億円から5億円に大幅減資し、累積損失を一掃する。

ただし現状で、返済期限が1年以内の短期借入金は8400億円に上るうえ、両行による協調融資3600億円の返済期限も2016年3月に迫る。目先の金融支援継続で、財務危機が完全に過ぎ去ったとは言えない状況だ。

危機から完全に脱却するには、何よりシャープの収益回復と、銀行のさらなる支援継続が不可欠。今回示した新中計では、2015年度に売上高2兆8000億円、営業利益800億円、2017年度には売上高3兆円、営業利益1200億円へと、回復する絵を描いた。が、シャープがそこへ向けて示した道筋は、金融機関や市場が求める対策と乖離があるのが実情だ。

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