大成建設、「世田谷区役所」工事が2年遅延の波紋 株価も急落、建築工事で「負の連鎖」が発生か?

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世田谷区役所の第一庁舎は1960年(昭和35年)竣工。近年は老朽化が目立っていた。奥に見えるのが建て替え中の区民会館(記者撮影)

「大成建設ショックがまた起きた」。中堅ゼネコンの幹部はこう語る。

スーパーゼネコンの大成建設は8月7日、今2024年3月期の第1四半期(2023年4~6月期)決算を発表した。売上高は3289億円(前年同期比0.2%減)、営業損失は80億円(前年同期実績60億円の黒字)と、赤字に転落した。これを受けて同社の株価は急落。8月7日の終値は4914円と、前営業日の8月4日の終値に対して469円も下落した。

「大成ショック」は今年に入って2度目だ。1度目は3月17日。株価の終値は前日比で360円下落、株価チャート上で「窓」を開けるほどの落ち込みとなった。大成建設はこの前日に、北海道札幌市で建築中の高層複合ビルにおいて、鉄骨の精度不良と発注者への虚偽申告を公表しており、これが株価下落の引き金になった。

ライバル業者が指摘する「あの案件」

「あの案件が原因だろうな」(スーパーゼネコンの幹部)。2度目となる今回の大成ショックの要因について、業界関係者の多くはすぐに感づいた。「あの案件」とは、世田谷区役所(東京都世田谷区)の建て替え工事のことだ。

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老朽化が進行する世田谷区役所の第1庁舎、第2庁舎、第3庁舎、区民会館といった建物を3工期にわたって建て替え・改修する大規模工事で、2027年10月の完成を予定していた。ところが、施工を担っていた大成建設はすでに遅れが出ることを公表していた1期工事に加え、2期と3期工事も遅延することで、全体で2年近く遅れる可能性があることを7月に発表した。

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