クックパッドが、あの結婚サイトを買う理由 レシピサイトの雄が"拡大路線"を鮮明化
料理レシピ検索サイト「クックパッド」が、過去最大規模の投資に踏み出した。
クックパッドは、結婚式場の口コミサイトを運営する「みんなのウェディング」と資本・業務提携し、TOB(株式公開買い付け)を実施した上で連結子会社化する方針を4月21日に発表した。総額約28.6億円を投じて、みんなのウェディングの発行済み株式数の最大26.87%を取得する。
筆頭株主のグロービスと2位株主のディー・エヌ・エー(DeNA)が買い付けへの応募を表明。クックパッドの穐田誉輝(あきた・よしてる)社長は、みんなのウェディングの第3位株主として13.13%を保有しており、TOB後の保有比率は、自身とクックパッドを合わせて40%に達する。クックパッドは穐田氏ら取締役3人を派遣する見通しだ。
なぜクックパッドがみんなのウェディングを子会社化するのか。背景には、同社がレシピサイトを起点にし、いずれは「生活インフラ」へと発展させるため、事業領域の拡大を進めていることが挙げられる。もっぱら、レシピサイトとして知られるクックパッドだが、将来の収益拡大に向けて積極的に投資姿勢を強めているのだ。
いわく付きの企業を買収したが…
拡大路線が鮮明になったのは、2012年に穐田氏が創業者の佐野陽光社長に代わり、クックパッドのトップに就いてからだ。
2013年以降は個人レッスン仲介サイト運営の「コーチ・ユナイテッド」などを買収。今年に入っても、ネットで仕事を仲介するクラウドソーシング事業の「リアルワールド」や、電子書籍事業の「イーブックイニシアティブジャパン」に、それぞれ約5億円を出資。さらには今回、結婚関連事業にも手を広げた。
クックパッドの業績を見ると、有料会員と広告の2本柱の成長が続き、目下絶好調だ。今2015年12月期は、第1四半期(1~3月)が営業利益11.9億円で営業利益率41%と、快調な出足。ふんだんな資金を生かし、新たな収益源の育成に乗り出している。
ただし、みんなのウェディングは不祥事の記憶がまだ新しい、“いわく付き”ともいえる企業だ。2014年11月、「売上に関する社内調査結果に関するご報告」として、飯尾慶介社長兼CEO(当時)が、2014年9月期に架空の売上高計上を試みた事実があったと公表。「業績未達を少しでも穴埋めしようというもの」と、身もふたもない動機だったことが明らかになっている。
その後、みんなのウェディングの株価は、クックパッドによるTOBが発表されるまで低迷。公開価格は2800円だったものの、TOB発表の前日終値は、874円にまで落ち込んでいた。
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