決め手を欠く自民党の対決路線

決め手を欠く自民党の対決路線

塩田潮

 5月の連休が明ければ、大震災から2カ月となる。協力路線を取ってきた自民党は連休前の4月26日、谷垣総裁が再び菅退陣要求方針を示して政治休戦終了を打ち出したが、連休中に大詰めを迎えた震災復旧関連の2011年度第1次補正予算については、財源確保のための関連法案にも賛成を決め、協力路線を維持した。

 政府・与党に付き合うのは第一次補正予算までで、連休明けからは対決路線回帰という構えだが、苦しい事情もほの見える。

 民主党政権打倒・菅内閣倒閣と叫んでも、決め手がない。最大の懸念材料は公明党との共闘だ。

 加藤元自民党幹事長は「いつまで参議院で自民党に付き合ってくれるか、不安を感じている。公明党が国民生活を考えて自民党の筋論一本ではダメと思ったとき、苦境になる。そのときに自民党から大連立なんて言ってもチャンスがなくなっているのでは」と語る。

 自民党が最終的に第1次補正予算の関連法案で賛成に回ったのも、その前に公明党が独自に賛成を決めたためで、自公共闘を優先するしかなかったという事情が大きい。

 菅首相は、公明党の対決姿勢は統一地方選までで、終われば方針変更も、と見て、大連立工作の一方、密かに民公連携に期待している面があった。

 だが、公明党はいまも菅首相には厳しく、民公連携に傾斜するにしても、首相交代を条件とする可能性が高い。菅首相はとても呑めないし、自民党は菅内閣倒閣で自公共闘を維持できると踏んでいる。連休明けのポスト政治休戦の攻防は、民主党と自民党の公明党争奪戦、公明党抜きの大連立作戦が錯綜する中で、菅首相の延命と倒閣を軸に展開しそうだ。

 だが、国民の目は永田町の権力闘争には冷ややかだ。

 各党は復興プランや日本再生策など、大震災が提起した新しいテーマにどんなビジョンと青写真を示すのか、さらに民主党にしろ自民党にしろ、対立軸が曖昧となる中で独自の政策や路線、基本方針を打ち出し、改めて国民の支持を獲得し直すのか。

 攻防を制するのは、その視点に立ち、政策によって政局を制するパワーを持った勢力である。
(写真:尾形文繁)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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