「IQ130超」ろう者女性が抱く日本社会への違和感 先入観が子どもたちの才能・可能性を閉ざす

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「聴者に認められるには勉強ができないといけない」と両親から厳しいしつけを受け、「できる自分」と「できないでいたい自分」の間で悩み続けたが、アメリカへの留学で転機を迎えた(提供写真/出所:『ギフテッドの光と影 知能が高すぎて生きづらい人たち』)
世間では「ギフテッド」と呼ばれることもある、才能を持つ子どもたち。文科省がその支援のために2023年度予算案で8000万円を計上するなど、日本でも注目を集めるようになってきていますが、突き抜けた才能を持つ一方で、IQの高さや並外れた知能の発達ゆえに問題を抱えるケースも少なくありません。
なぜ彼らは困難を抱えるのか? そして、なぜ教育はその才能を伸ばせていないのか? 『ギフテッドの光と影 知能が高すぎて生きづらい人たち』より一部抜粋・再構成してお届けします。(前編はこちら

「将来のために」両親の厳しいしつけ

家庭環境はどうだったのか。尋ねると、女性はまた険しい顔を浮かべ、キーボードをたたき始めた。

「褒められた記憶はない」

「社会に出たら周りは聞こえる人ばかりなので、親は早くから慣れたらいいと思ったみたい」

「当時は親に殺されるって思っていました。親は今は反省しているみたいですが」

……。

「将来のために」と厳しくしつける両親だったそうだ。だが、聴覚障害がある子どもにこれほどつらい思いをさせることが信じられなかった。親が抱えていた不安はどういったものだったのだろうか。

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