「雑談が苦手」な人は話す内容を気にしているから 内容よりも楽しかったという「感情」こそが大切

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学生時代、ファミレスで友達と雑談した楽しい記憶はあっても、話の内容までは覚えていないと思います。仲のいい同僚と昼ご飯を食べにいったときも、旧友と飲みにいったときも、楽しい時間を過ごした記憶はあるのに、他愛もない話の内容は覚えていないのではないでしょうか。なぜなら雑談は、話す「内容」よりも、楽しかったという「感情」が優先されるからです。

会話が続く簡単な話題の見つけ方

私は話し方スクールを運営しているので、今までに「雑談が苦手」という方にたくさんお会いしてきました。その中で、わかったことがあります。それは、会話が続かない人は話す内容に重きを置いているということです。いつも「何を話そう……」「特に話すことが見つからない……」「こんなこと言って大丈夫かな……」と話題を見つけることに必死です。極論すれば、雑談は話題を見つける必要すらありません。目の前のものに「触れる」。これだけで十分です。

例えば、

・カフェで打ち合わせ

「このお店っていつも混んでますね」

「スペースが広めで結構いいですよね」

「〇〇さん、冬でもアイスコーヒーなんですね」

と、お互いの目の前にある情報にタッチする。これだけで会話ははじまります。何を話そう……なんて真剣な顔をして悩む必要はありません。目の前に情報がたくさんあるからです。

・会社のエレベーターを待っているとき、先輩とバッタリ出会う

「おはようございます。今日はすごく並んでますね」

「隣のエレベーターが点検中なんですね」

「暑くなってきたんで、半袖の人が増えましたね」

出会いがしらに焦って、「何か話さなくては……」と思うと言葉は出てきません。話す内容に縛られて視野が狭くなるからです。視野を拡大してみてください。目の前は話題の宝庫です。

・電車に乗っている

「スマホを見ている人が多いですね」

「下をずっと見ているのは相当首によくないんですって」

「私、最近電車でスマホを見ないようにしていて」

・食事をしている

「落ち着いた感じのお店だね」

「きれいな色のお酒!」

「ね、見て! このお魚、まったく骨がない」

話し方すべて
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このようにお店の雰囲気、目の前の飲みものや料理に触れます。話題はすでに目の前に存在する。だとしたら、やるべきことは簡単。よく見ればいいのです。

・目の前には何が見えるか?

・その場所には何があるか?

・そこで何を感じるか?

話題を「見つける」から、目の前の情報に「触れる」という感覚で、雑談にトライしてみてください。そのほうが自然に会話がスタートし、話題も広がっていくはずです。

桐生 稔 伝わる話し方の専門家

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きりゅう みのる / Minoru Kiryu

モチベーション&コミュニケーション代表取締役、日本能力開発推進協会メンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー、日本声診断協会音声心理士。2002年、大手人材派遣会社に入社。営業成績がドベで新卒3ヵ月にして左遷される。そこから一念発起し、全国売上達成率No.1を実現。その後、音楽スクールに転職後、事業部長を務め、2017年、社会人の伝わる話し方を向上すべく、モチベーション&コミュニケーション設立。これまで全国40都道府県で年間2000回にわたり「伝わる話し方」のセミナーや研修を開催してきた。テレビ朝日とABEMAが共同製作する『マッドマックスTV論破王』ではディベートの審査員も務めている。
 

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