「雑談が苦手」な人は話す内容を気にしているから 内容よりも楽しかったという「感情」こそが大切

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その裏付けとなる、大変話題になった研究結果があります。2012年、ハーバード大学のジェイソン・ミッチェル博士が、被験者の脳をMRIを使って調べたところ、「自分のことを話すとき、お金や食事、セックスと同様に、快楽ホルモンと言われるドーパミンを分泌するシステムが活発化することがわかった」と発表しました。

つまり自分の話をしているときは、食事をしているときのような、お金をもらったときのような喜びを味わっているということです。

確かに、相手が自分の話を聞いてくれているときは、自分の存在が承認されたような感覚になり、とっても嬉しくなります。人間は自分の話を聞いてほしくて仕方ない生き物なのです。

話し上手よりも訊き上手になる

これを踏まえると、会話をはじめるきっかけは、おもしろい話をすることでも、興味深い話題を提供することでもありません。

「質問する」ことです。

・初対面の会話

「はじめまして」+「こちらのカフェにはよく来られるんですか?」

「こんにちは」+「会社はお近くなんですか?」

「お会いできて嬉しいです」+「飛行機は快適でしたか?」

・職場

「おはよう」+「最近忙しそうだね?」

「こんにちは」+「〇〇の企画、順調?」

「お疲れさまです」+「部長、今日は会議が続いてますよね?」

・お客様を訪問したとき

「いつもお世話になります」+「あれ? 入り口の雰囲気変えられました?」

「本日もよろしくお願いします」+「しかしすごい速度で新商品を発売されてますね?」

「ご無沙汰しております」+「お身体に変わりはないですか?」

このように、たった一つの質問が会話を広げるきっかけになります。話していて心地がいいのは、「話すのがうまい人」ではなく「話しやすい人」です。話しやすい人は、自分に対して質問を投げかけてくれる人なのです。ちょっとした質問が、良質なコミュニケーションを育むきっかけになります。

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