外国人観光客が頼る、あの東京ガイドの強み

地域密着の「タイムアウト」は何がスゴイのか

「地域密着メディアなのに、グローバルなネットワークを持っているのがタイムアウトのユニークさ」と、「Time Out Tokyo」の伏谷氏。編集部内には各都市タイムアウトのバックナンバーが所狭しと並ぶ。他地域でヒットした企画をアレンジして掲載できるのもグローバルネットワークを持つ強みだ
「地元の人が選ぶ店で食事をしたい」「地元の人向けのイベントに参加したい」ーー。外国を訪れた際、こう思う人も少なくないだろう。
それは日本にやって来る外国人も同じ。そんな彼らから絶大な支持を得ているのが、日英バイリンガルのシティガイド「Time Out Tokyo(タイムアウト東京)」だ。英ロンドンで1968年に創業した「Time Out」はいまや、世界85都市、37カ国で展開。海外ではシティガイドと言えばタイムアウトと言うほど、その知名度は高い。もとは雑誌だが、今ではガイドブックからウェブサイト、スマートフォンアプリまで幅広く手掛けている。
近年は訪日外国人の急増によって、タイムアウト東京の利用者も急拡大。雑誌とマップを併せた発行部数は2014年に110万部と前年から3倍以上伸びた。代表取締役を務める伏谷博之氏はタワーレコード社長を経て、2009年にタイムアウト東京のライセンス契約を取得。音楽業界、eコマースの経験を生かし、出版の常識をくつがえす戦略で、タイムアウトブランドを活かしつつ新しいシティガイドを発信している。
世界で注目される観光地の「東京」をどう伝えていくのか。タイムアウト東京立ち上げの経緯と今後の展望を聞いた。

 

──ここ数年、訪日外国人が急増して、「タイムアウト東京」もすっかり浸透したのでは。

そうですね。英語のウェブマガジンは世界194の国と地域からアクセスがあります。「日本にもタイムアウトあるよね?」という感じで、ネットで検索をして来る人が多い。ホテルでもコンシェルジュに「タイムアウト」があるかと訪ねる外国人がいらっしゃるので、雑誌は無料で空港、外国人利用客の多い地下鉄の駅、外資系ブランドのホテルなど約400カ所に置いています。

日本ならではの体験ができる情報を届ける

──あまたある東京の観光ガイドとの違いは。

伏谷博之(ふしたに ひろゆき)●1966年島根県生まれ。1991年関西外国語大学卒。大学在学中にタワーレコード入社、2005年、社長に就任。同年、ナップスタージャパンを設立し、社長を兼務、日本初の音楽サブスクリプションサービスを開設。2009年タイムアウト東京を設立し、代表に就任

”Time Out”とは「外で過ごす時間」。お出かけを促進するメディアというコンセプトなのですが、ここ数年、訪日客(インバウンド)の間で、観光地を訪れるだけではなく、「日本ならではの体験をしたい」と考える人たちがぐんと増えた。

そこで、「東京で何ができるか」を掘り起こし、サポートするようにしています。たとえば、渋谷のスクランブル交差点で人にぶつからないで歩ける理由を知りたい、ラッシュアワーに満員電車に乗ってみたいといった、日本に住んでいる人たちが「えっ?そんなこと?」と思うような生活体験ですね。

日本人のスタッフには「外国人のコスプレをして」取材するイメージで情報を集めてほしいと伝えています。「これは外国の人が喜びそう」という視点を盛り込んでいます。

──エッジのきいた情報を提供する「タイムアウトらしさ」は意識していますか。

それは全員が意識的にやっています。コンテンツチームのメーリングリストがあるのですが、今朝も「ここでレストランオープンのチラシが出ていた」と情報が飛んでいました。アルバイト情報誌のオープンスタッフ募集をみて新規店舗の情報を仕入れたり、建設中の建物があれば工事をしている人に何が建つのか聞いてみたり、といった現場の生の情報がベースになっています。

 コンテンツや企画は、地域密着ガイドなのにグローバルなメディアネットワークを持っているタイムアウトならではのユニークさがあります。「街を紹介する切り口」のストックがとにかく豊富。たとえば、ロンドンは1968年に創業して以来、毎週色んな角度で今までロンドンを紹介してきた。そこで人気になった企画をドバイやサンパウロなど他都市でやってみて、「そのままではウケなかったけれど、こうしたらよかった」という視点が共有され、グローバルで通じる企画になる。

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