京セラ、ソーラー事業にぬぐいきれぬ不安 最大の足かせはソーラーの価格下落

拡大
縮小
2015年度は業績回復を見込む山口悟郎社長

「ソーラーは40年間ずっと開発を続けてきた事業。昨日今日始めたわけじゃない。やめるわけにはいかない」。4月28日に行われた京セラの決算説明会で、ソーラー事業の存続について聞かれた折、山口悟郎社長はこう語気を強めた。

2014年度(2015年3月期)の京セラの業績は、売上高は1兆5265億円(前期比5.5%増)と過去最高を更新し、法人税率引き下げに伴う繰延税金負債の評価替えにより、純利益も同30%増(1158億円)と大幅増益で着地した。だが、本業の利益を示す営業利益は同22%減(934億円)と振るわない。

セグメント別にみると、事業ごとに明暗がはっきりと分かれた。好調だったのは、スマートフォン向けに伸びた電子部品や、車載カメラの採用が増加した車載関連部品など。事務機器も、A3モノクロ機が中国を中心とした新興国で大きく業績を拡大した。

この利益を食いつぶしたのは、通信機器とソーラー事業だ。携帯電話を中心とした通信機器事業の営業利益は2013年度が14億円の黒字だったのに対し、2014年度は200億円もの大赤字。ソーラー事業を主軸としたファインセラミック応用品関連事業も、前期比90%減となる31億円に落ちこみ、あわせて519億円もの減益要因を生みだした。

最大の足かせはソーラーの価格下落

通信機器が赤字転落した理由は減損だ。京セラは2008年に三洋電機の携帯電話事業を承継した。このとき発生したのれん代を2014年度に減損したことで185億円の損失が発生。また、円安によって調達コストが増加したのも響いた。だが、減損損失は一時的なもので、来期は復調が見込める。

次ページ国内のソーラー需要は頭打ち
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT