日本の再生可能エネルギーの市場拡大を受け、関連する外国メーカーが虎視眈々とシェア拡大を狙っている。特に動きが活発化しているのが太陽電池の市場。全量固定価格買取制度(FIT)導入によって、日本の太陽電池市場が中国に次ぐ世界第2位の巨大市場(2013年の国内向けモジュール出荷量は約7.5ギガワットと前年比3倍)へ躍進し、今後も高水準の需要が見込まれるためだ。
太陽電池モジュールにおける国産化比率は現状、メガソーラーを含む非住宅向け市場で約7割、住宅向けで約9割を占める。シャープや京セラ、ソーラーフロンティア(昭和シェル石油の子会社)など国内勢が信頼性をバックに圧倒している。しかし、需要急増でどこも生産が追い付かない状態。こうした中、中国勢を中心とした外資は絶大な生産余力や低価格、さらには長期品質保証なども武器に日本での販売体制拡充に乗り出している。
風力発電市場においても、風力発電機で世界最大手の米国ゼネラル・エレクトリック(GE)が日本再参入を決めるなど、外資が姿勢を積極化している。現状、日本の風力発電市場の伸びは鈍い。ただ、日本政府はFITにおける洋上風力の買取価格を高めに設定したり、市場成長のネックとなっている送電網の強化や環境アセスメントの迅速化に動き出したりするなど、風力推進に本腰を入れ出した。外資は日本市場の中長期的な成長ポテンシャルは高いと見ている。
太陽電池と風力発電機の分野で外資の大手各社がどのような対日戦略を練っているのか、2月に行われた「スマートエネルギーWeek2014」の会場で 関係者に話を聞いた。
国内パートナーと組んで基盤づくり
2013年の太陽電池モジュール出荷量で2年連続世界1位となったインリー・グリーン・エナジー(本社・中国)。全出荷量約3.2ギガワットのうち、8%程度の約250メガワットが日本向けだ。日本法人の板垣ジュリアン・マーケティング部部長は「14年には倍増の500メガワットを狙う」と意気込む。
同社は中国本国だけでなく、欧州最大市場のドイツでも出荷量首位を走ってきた。しかし、2012年まで世界最大だったドイツ市場は、2013年には大きく縮小に転じ、世界4位へ後退。同社はその穴を埋める新天地として日本に照準を合わせている。
対日戦略で板垣氏がまず挙げるのが「パートナーシップの強化」だ。13年10月から楽天の運営する太陽光発電システム販売サイト「楽天ソーラー」で、インリー製品の家庭向け販売を開始。同12月には太陽光発電システムの設計・施工・管理を手掛ける日本のエクソルとモジュール供給契約を締結し、販売を始めた。いずれも既存の取扱製品より低い「手頃な価格」を設定。今後は地域の工務店へも「窓口」を拡大していく方針だ。「日本では現状、メガソーラー向けが中心だが、これからは200キロワット以下の産業用"ミドルソーラー"や住宅向けに注力する。特に、住宅向けを伸ばすにはパートナーシップが重要になる」(板垣氏)。
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