安倍首相の演説、米紙はどのように報じたか

45分間に及んだ「歴史的演説」の突破力

「日本は米国の食料品に大きな関税をかけ、米国の自動車を締め出すためあらゆる種類の障壁を築いている。関税の中には700%を超えるものもある」と、ライアン議員はワシントンポストに書いている。「日本はTPPの話に加わろうと一生懸命ロビー活動をした。しかし、依然としてこの障壁を取り除こうとしていない」。

米議会での対立は続く

一方、米自動車業界は、いかなる貿易協定も為替相場の操作をすることを禁じるべきだと要請している。同業界の言い分では、日本は自国の輸出自動車の価格を下げ、米国からの輸入価格をあげるために為替相場を操作している。

しかし、安倍首相の公約は広範囲なものに限られた。「米国と日本が主導して、公平でダイナミックかつ持続可能で、いかなる国の恣意的な思惑にも左右されることのない市場を築かなければならない」と述べた上で、「太平洋の市場では過酷な労働や環境への負担も見逃してはならない。また、知的財産のただ乗りも許してはならない。それを許さず、私たちが奉じる共通の価値を世界に広めなければならない」と語った。

安倍首相の演説にかかわらず、今後も米議会では対立が続くだろう。

下院歳入貿易小委員会議長である、共和党のパット・チベリ下院議員(オハイオ州)は、安倍首相が地政学と日米同盟に焦点を置いたことは政治的に賢明だったと話すそもそも公的な場で議会がファストトラック権限を大統領に付与する前に、譲歩の表明をすることは期待できなかっただろうとしている。

なぜなら、この権限があって初めて、日本の最上オファーとして交渉者間で合意したはずのものが、米議会によって修正されるという事態が防げるからだ。「われわれが(オバマ大統領に)TPAを付与しない限り、日本が最上オファーを出してこないのは明らかだ」とチベリ下院議員は話す。

しかしながら反対派の気は静まらない。全米鉄鋼組合のレオ・W・ジェラード国際会長は言う。「安倍首相がTPP妥結に向け奮闘するのは正しい。なぜなら、日本にとって非常に大きな利益があるように見えるからだ。しかし、米国にとっての利益は疑わしい」。

(Jonathan Weinsman記者)

(C)2015 New York Times News Services

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