ホンダの悩み、「増収でも利益が伸びない!」 収益率低下を招く3つの要因とは?

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4月28日に決算会見を行ったホンダの岩村哲夫副社長

昨年は基幹車種「フィット」や「ヴェゼル」の相次ぐリコール(無償回収・修理)に加えて、タカタ製エアバッグの欠陥など品質問題に揺れたホンダ。2015年3月期の決算は売り上げが過去最高を更新したものの、営業利益は2ケタ減となり、2012年3月期以来の減益となった。

今期の業績見通しも芳しくない。二輪、四輪ともに販売台数の増加で、売り上げは4期連続で過去最高を更新する計画だ。しかし、営業利益は6600億円と前期比1.3%増にとどまる公算(従来の米国会計基準ベース。今期から国際会計基準ベースを適用)。営業利益率をみると2015年3月期の5.2%に対して、2016年3月期は4.8%に低下する見通しだ。売り上げが増える中、なぜ利益が上向かないのか。

新車投入でも国内販売が苦戦

4月28日の決算会見で、岩村哲夫副社長は収益性が低下している理由として、「念には念を入れた」という品質関連費用の膨らみ、販売台数の伸び悩み、そして米ドルに対する他国通貨レートの悪化という3つを挙げた。

販売台数では前期に国内の計画が大幅未達に終わっている。もともと、新車の投入効果で前期比20%増となる103万台を目標に掲げていたが、期中に計画を2度引き下げた。結局、実績は前期比7%減の78万8000台と当初目標から25万台も下振れした。そして、昨年後半から5月まで新たに投入されるものが7車種もあるが、今期の年間目標は前期実績を下回る77万台に設定している。

岩村副社長は昨年12月に発売した「グレイス」と「N-BOXスラッシュ」、今年2月に投入した「ジェイド」の販売が当初計画に届いていないと明かした上で、「品質問題でブランドの毀損があった。新規客がもくろみどおり取れていない」と国内販売の苦戦を認めている。数字だけみれば77万台は保守的だが、足元の売れ行きを踏まえた現実的な水準のようだ。

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