元宝塚「おじさん役」天真みちるの退団後の“今" 宝塚の枠を超えて「やりたい」を追求したかった

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自分にはかっこいい瞬間を生み出すことはできないと思っていたけど、おじさん役をやるようになって、二枚目とは違う三枚目のかっこよさを知りました。結果、「かっこいい」のジャンルも広がった。

 自分の存在によってトップがよりかっこよく見える瞬間があることも分かって、「誰かを立てる」ことをパフォーマンスとして学んだら、そんな自分を「かっこいい」と言ってくれる人も出てきた。

退団してからも、会社で働いたからこそ組織ではなく個人で動く方が向いていると気付けました。

会社員の頃を振り返れば、苦手なことが多すぎて「こんなにできないか……」って泣きそうになりますけど、それに気付いた大きな1年間でしたね。

(撮影/赤松洋太)

「会社員時代のダメダメなエピソードが本にまとまっているんですけど、共感してくれる人もいて少し安心しました。議事録を書けないのはこの世に私ただ一人だと思っていたので(笑)」(天真さん)

組織が好きなら歯を食いしばってもいいんじゃない?

今の居場所で花が咲いていない人は、その場所に長く居るか、場所を変えるかの二択かなと思います。

まずは「その場所に居たいのか」を自分に問うといいんじゃないかな。

残るのであれば、鍛錬を積む覚悟が必要なのだと思います。

宝塚で言えば、10年以上在籍していれば、センターではなくとも1列目で踊る機会が一度は与えられます。

そのときに、「この人はただ残ってきたのではなく、宝塚が好きで、技術を蓄えてきたんだな」というのは必ず分かる。それに先生方やファンの方が気付いて、その人の価値が急浮上する瞬間があるんですよ。

ただ、それはかなり限られたことではあるので、その道がダメそうなら私みたいに「こいつ何やってんだ?」っていう、良くも悪くも話題をつくる方に進むやり方もある(笑)

いずれにせよ、その場所が好きで居続けたいのであれば、胸を張って「ここにいました」と言えるように、一定期間は頑張った方がいいんでしょうね。

特に宝塚の場合、タカラジェンヌになること自体のハードルが高いから、元宝塚というだけで広がる道筋があることに辞めてから気付きました。

所属している場所にもよると思いますけど、自分の箔をつけるためにも、組織が好きなら歯を食いしばって試行錯誤するのもいいんじゃないかって思います。

 (撮影/赤松洋太)
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