居酒屋チェーン改め「焼肉の和民」の意外な強み 酒類含めほとんどのメニューが「429円均一」

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「カミチク様は30の牧場で1万8000頭の肉牛を飼育している企業。安定した供給を確保できるとともに、一定した品質のものを提供できるというメリットもあります」(新町氏)

なお、カミチクとの合弁会社である「ワタミカミチク」も設立している。この結びつきが実現したのも、ワタミとカミチクの双方が「和牛の世界展開」という共通の目標を抱いていたからだという。

ほとんどのメニューが429円

では、実際の「焼肉の和民」の実力はいかほどだろうか。

やはり大きなインパクトが、アルコールを含めほとんどのメニューが429円で統一されていることだろう。もっとも新町氏によると、これは2022年3月のリブランドの結果で、それ以前は1000円を超えるメニューもあったらしい。より手頃な価格設定で、1人でも多くの人に利用してほしいという意図から価格改定を行ったそうだ。夜間の客単価は改定前の3500円から3000円ちょっとに引き下がっているという。

牛タンや極厚鮮レバーといった一部の商品以外、429円と、「鳥貴族」を思わせる方式。安さを印象づけるとともに、合計金額に目処がつけやすいメリットも(筆者撮影)

一番人気はワタミカルビ、極厚牛タン(495円)などだそうだ。しかし赤身やホルモン、豚などメニュー数が多く、いろいろな種類を楽しめるように、1人前の量は80gにしてある。今回、定番からレバー、ホルモン系などさまざまなメニューを試食したが、一例だけ紹介しよう。まずカルビは思いのほかやわらかく、こってりした味わいが楽しめる。

ロースターはガス火式。タンはサッと、ハラミはじっくりなど、部位によって最適の焼き方を追求するのも、焼肉の楽しみだ(筆者撮影)

極厚牛タンはさすが、厚みのある肉を噛みしめると肉の旨味が口の中に広がる1品。肉は部位ごとにも味が違うが、タレか塩かによっても、当然だが味わいが異なる。とくに塩で食べると肉の味そのものが感じられて、その違いを味わうことができるのに気づいた。タレか塩、自分の好みのほうだけ注文する人が多いだろうが、この値段なので両方注文してみるのもおすすめだ。

スイーツのメニューが多いのも特徴。写真は人気商品の「石焼フレンチトースト」。石鍋で熱したフレンチトーストをとろけたアイスが包み、温かさと冷たさのセッションを楽しめる。石鍋を使った、焼肉屋ならではのアイディアメニューだ(筆者撮影)

また、「飲める店」として焼肉以外のアルコールや、海鮮系などのつまみメニューも充実。さらにスイーツにも力を入れ、3960円の食べ放題に17種類のスイーツメニューも加えている。ランチ時間帯には定食も提供する。

これらにより、同店は高校生も含む若年層から、平日夜は飲み需要のビジネスパーソンや学生、土日はファミリー層など、客層や立地の違いによる幅広い需要に応えられるチェーンとなっている。

「店舗によっては夕方になると、5時、6時ぐらいから高校生でいっぱいになりますね。これが、居酒屋にない強みです」(新町氏)

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