算数が苦手な子になる「親が言いがち」余計な一言 サピックス小学部に聞いた「算数と数学」の違い

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算数が苦手だった子が、中学にあがって数学が得意になるパターンがあります(写真:Fast&Slow/PIXTA)
「算数が苦手だから、きっと中学に入って数学も苦手だわ……」
わが子に対して、そんな心配を抱く保護者は少なくない。しかし、「算数と数学は同一には考えられない」と私立中学受験で高い合格率を誇るサピックス小学部で算数を担当する広野雅明さんは言う。『10万人以上を指導した 中学受験塾 SAPIXだから知っている 頭のいい子が家でやっていること』を上梓した教育ライターの佐藤智さんが、その真意に迫った。

算数が苦手な子は中学に入って「数学得意」になるか?

佐藤:算数と数学は一緒に語られることが多いです。例えば、「小学校で算数嫌いだったから、中学校に入っても数学が苦手だろうな」と思いがちではないでしょうか。算数が苦手であっても、中学校の数学で巻き返す子もいるのでしょうか。

広野:結論から申し上げると、そういう子もいます。それは算数と数学が別物だからです。例えば、小学校時代に面積図で上手に解けていた、あるいはダイヤグラムを書くことで解けていたとしても、数学の代数分野では方程式をいかに使いこなせるかが問われるので、別のアプローチが求められるのです。こうした点が、算数と数学が似て非なるところです。

中学校に入り、頭の中を完全に切り替えられた子は、数学の分野になってもぐんぐん力を伸ばしていきます。

佐藤:逆にいうと、小学校時代は算数が得意だったけれど数学に入って苦手になることもあるということでしょうか。

広野:残念ながらありえます。中学生になっても算数の解き方に固執していると、軌道に乗れず、数学が苦手になってしまう可能性があります。もう少し具体例を紹介すると、算数ではどんなアプローチであっても答えに辿り着けばよかったんです。

しかし、中学校に入ると幾何分野であると、「どうしてそうなるのか」を論理的に答案を書き込んで証明するといったことが問われます。型にはまった解き方で答案を書く練習が求められる側面もあるんです。

佐藤:そうなると、数学を学び始めるタイミング、つまり中1の時期は重要になりそうですね。問題の解き方を切り替えて、それを定着させていく、積み上げが必要な時期といえそうです。

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