【産業天気図・建設機械】各社主要拠点はおおむね復旧、夏以降に震災復興需要、海外需要も旺盛

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 また、震災前から建機業界の活況要因となっていた海外需要は相変わらず旺盛。日本建設機械工業会(建機工)によると、11年2月の輸出向け出荷金額は1465億円と、前年同月比60.3%伸びている。地域別に見ると、中国と欧州が15カ月連続で増加。北米も10カ月連続で増加している。新興国の都市・住宅建設需要が増加し続けていることなどを踏まえると、外需の伸びが12年3月期に大きく腰折れすることは考えにくい。

ただ、夏場の電力制限が大規模なものになった場合、生産が需要に追いつかない懸念はある。特にコマツは、キーコンポーネントの油圧部品を生産している小山工場(栃木県小山市)の動向が注目される。電力制限で同工場の出荷が減退した場合、キーコンポーネントの出荷先である自社の海外工場の生産にも影響が出かねない。部材サプライヤーの生産展望にも不安は残る。 現在のところ、目立った供給難はないが、川上部材の急減などの可能性は否定できない。

とはいえ、現時点ではこれらの懸念はあくまでリスク要因に過ぎず、幸いにも現実化はしていない。何より需要面では国内外市場とも非常に活況であることを踏まえると、業界の景況感は尻上がりに上向くことになりそうだ。
(杉本 りうこ=東洋経済オンライン)

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