「昼顔」から9年、「あなして」が注目を集める必然 なぜ今、セックスレスドラマが量産されるのか

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一方、みちも楓と会ってしまったことで、「もう私、どうしたらいいかわからない。こんな覚悟で新名さんに会っていいのか」「このまま私は陽ちゃんを傷つけてしまうんだろうか」と悩みます。また、ラストシーンでは誠に「もう会えません。ただの同僚に戻りましょう」と告げたあと、「私たちの関係はずっと続くわけない。砂時計みたいにキラキラして見えるのは一瞬だ。その一瞬に私たちは逃げてるだけだ。きっと私と新名さんは今しか見えていない。陽ちゃんとの今が苦しいのはきっと私と陽ちゃんには過去も未来もあるから」というモノローグが流れました。

セックスレスがきっかけの不仲や、不倫関係になりかけた経験がある人が共感できるようなシーンやセリフがちりばめられているのです。

漫画業界で人気のテーマだった

そんな視聴者の共感こそが、深夜帯ではなくプライムタイムで放送する意義そのもの。セックスレスや、それをきっかけに不倫がはじまることが身近になったことの証しであり、制作サイドも「現在の視聴者に共感してもらえるテーマ」という確信を持ってこの作品を選んでいる様子が伝わってきます。

もう1つ、制作サイドがプライムタイムで放送するうえでの確信を持てた理由は、ハルノ晴さんの原作漫画が主に30~40代女性から圧倒的な支持を集めていたこと。2018年に「めちゃコミック」の年間ランキング1位を獲得したほか、9巻840万部超の累計部数やネットレビュー数の多さなどもあり、ドラマの三竿玲子プロデューサー自身も「女性から圧倒的支持を得ている」「私も一ファン」などとオファーの理由を語っています。

当作に限らずセックスレスを扱ったドラマが増えているのは、このように「漫画業界の人気テーマとなっているから」という背景がありました。事実、前述したドラマはそのほとんどが漫画原作の実写化であり、ネット上で話題を集めているセックスレスの作品を各局のドラマプロデューサーが狙い撃ちしているのです。

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