黒木華ら参加「循環社会」伝える個性的な取り組み サーキュラーエコノミーの概念も織り込む

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――YOIHI PROJECTを始めるにあたり、仕事観の変化があったそうですね。

さっきの頭を下げるじゃないですけど、かつては映画業界での自分の立場、地位を築きたいという思いがあったと思います。若いってそういうことだと思うんで。だから必死だったし、それがイコール自分のために働くことだった。自分のために美術デザインをずっとやってきたんですけど、それがある程度のところまで来た時に大病をわずらったんです。

そしてちょうどその頃、コロナで世の中が止まってしまい、映画を作れなくなった。そういう価値観の転換期だったんですよ。世間の常識が崩れたということと、自分の大病というタイミングもあって、これからはちょっと考えを変えようかなと。

ある程度は今まで積み上げてきたものがあるので、そうしたネットワークを使って何かできるんじゃないかなと思いました。

ダメ元で黒木華にオファー

――もともと本作は、(劇中に登場する)第7章の部分がパイロット版的に先にあり、後に他の章を撮り足して長編化されたと聞きました。

そうです。ただ僕の勝手な思いでやっているものなんで。要は自腹、自主映画です。その時はどうやって公開するのか、出口を何も考えてなくて、配信で自由にやれたらと思ったわけです。ただ普通は、そんな出口が決まっていないような短編に出てくれる役者さんというのはいないですよね。事務所的にも絶対に駄目だと言うでしょうし。

でもどうせ作るならと思ったときに、自分の中で黒木華さんしかいないと思って。だったらダメ元でオファーしてみようということになったわけです。

映画『せかいのおきく』第7章の雪のシーンは、パイロット版的な短編として先行して制作された ©2023 FANTASIA

――そこらへんはスムーズにいったのですか?

まずは事務所の社長と、YOIHI PROJECTについて、それからなぜこれを今作るのか、という話をして。そうしたら、これはこれから絶対大事なことだよねという話になって。それで出てもらえることになったわけです。

――それを長編に、という思いは最初から?

いえ。長編を作るだけのお金はもうなかったから無理だろうなと思っていました。だから最初は小さなテレビモニターで編集をしていたんですけど、一度、五反田のIMAGICA試写室の大きなスクリーンで観てみたいと思って。15分の作品だからということで、自分でお金を出して、初めてスクリーンで観たんですよ。

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