いわきの「一番店」仕切るママの超旺盛な事業意欲 事業を手広く展開することで地元の雇用に貢献

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約32万人が住むいわき市でであった魅了的なスナックとは(写真:PhotoNetwork/PIXTA)
法哲学者であり、「スナック研究者」としても知られる谷口功一氏。全国の「夜の街」を歩くなかで、地方経済を支える自営業者の姿や地域に根差したコミュニティの重要性について日々、知見を重ねている。多様な人々を包摂する場としてのスナックやバー、ラウンジの存在意義を、自著『日本の水商売 法哲学者、夜の街を歩く』からつまびらかにする。

いわきに広がる「都会」の光景

新千歳空港から羽田への空路、左側の窓の外にはずっと原野が広がっているのが見えるが、あるとき突然、大都会らしきものが見えてくる。

一瞬「あ、首都圏に入ったのかな」と思ってしまうのだが、それはまだ東北のいわき市(福島県)なのである。天気の好い日なら、まず福島第一原発がぽつんと海沿いの原野に見えてきて、それからすぐにいわきの街が見えるのだが、原発と都市の対比には、もの思わしめる何かがある。

ところで、北海道・東北全県を合わせて、人口の多い都市を上から3位まで言えるだろうか? 1位の札幌市(197万人)、2位の仙台市(109万人)までは誰にでもわかるのだが、では3位は? ――答えは、いわき市(32万8612人)である。

市町村合併の結果としての「1つの県なのでは?」というほどの広さ(じつは香川県の3分の2ほど)と3.11以降の周辺町村からの人口流入などを加味しても、いわきという街が東北のなかで占める重みが理解できるのではないだろうか。

なお余談だが、4位は郡山市(32万8533人)、5位は旭川市(32万7594人)で、東北の県庁所在地で人口が30万人を超えているのは、かろうじて秋田市(30万1117人)だけであり、それ以外の仙台を除いた全県都は30万人を切っている。

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