社会貢献支出額トップはトヨタ、対経常益支出比率トップは東芝--『CSR企業総覧』注目データランキング

社会貢献支出額トップはトヨタ、対経常益支出比率トップは東芝--『CSR企業総覧』注目データランキング

東日本大震災で企業からの義援金に注目が集まっている。ただ、企業はこうした非常時だけでなく、他にもさまざまな社会貢献支出を行っている。『CSR企業総覧』には各企業に聞いた過去3年分の社会貢献活動の支出額を掲載している。今回は、この社会貢献支出額を使ったランキングをご紹介する。
 
 まず、2009年度の社会貢献支出額のランキング(表1)をご紹介する。トップはトヨタ自動車の121億円、2位NTTドコモの74億円、3位キヤノン49億円などの大企業が並ぶ。社会貢献は受ける側としては金額が大きい方が効果は高い。大企業にはこうした規模の面での貢献という役目がありそうだ。

ただ、社会貢献では金額の大きさだけでなく、各企業が可能な範囲で行うことが大切である。日本経団連が設立している「1%(ワンパーセント)クラブ」では「経常利益(法人)や可処分所得(個人)の1%以上を目安に社会貢献活動に拠出しよう」と呼びかけている。規模によって利益額が大きく異なる企業にとって社会貢献支出の目安の1つとして使えるだろう。

そこで、この「1%クラブ」を参考に経常利益に対して社会貢献支出額が占める比率を「社会貢献支出比率」と名づけ、ランキングしてみた(表2)。『CSR企業総覧』では3年分のデータを掲載しているので経常利益と社会貢献支出額はそれぞれ3年平均で計算した。この結果もご紹介しよう。

「社会貢献支出比率ランキング」のトップは760%の東芝だった。3年平均の社会貢献支出額は32億円。リーマンショック後の09年3月期が2792億円という巨額の経常赤字のため経常利益(同社は会計基準がSECのため税前利益)の平均値はわずか4億円。一方で社会貢献支出は安定的に支出しており、比率が非常に高くなった。

さて、同社は日本を代表する原子炉メーカーである。今回の福島第一原発の事故で原子力発電は大きな見直しが迫られることは間違いない。今後の売り上げが減少する可能性も高い。仮にこうした状況になっても、これまで通り社会貢献を続けることができるか。むずかしい選択を迫られるかもしれない。

続いて2位はアジア航測の60.4%。社会貢献支出額の平均値は1千万円と09年の売上高が172億円の企業としては決して少なくない金額である。ただ、経常利益の平均値(1.7千万円)は09年の巨額赤字が大きく影響しており、通常期の比率はもっと低くなるかもしれない。

以下、3位藤井産業48.9%、4位パナソニック40.7%、5位タケダ機械40.3%と中堅企業が多くランクインしている。

多くの企業は08年のリーマンショック後に大きな赤字となりあらゆる面でのコスト削減を行った。しかしランキング上位は社会貢献に関する支出は多少の変動はあっても中止することはなかったようだ。そのため比率が高くなった。一方でリーマンショック後も黒字を維持した企業は利益額が安定しているため、比率が低くなり順位も多少下がるという結果となった。

現在、日本は未曾有の危機を迎えている。今後の復興には多くの力が必要となる。普段から社会貢献を積極的に行っている今回のランキング上位企業などに大きな期待が集まることになるだろう。

もちろん社会貢献は被災地の復興だけが対象ではない。「本業をきちんと行うことが社会に対しての最大の貢献である」という意見も一理ある。だが、普段から社会貢献の意識の高い企業が可能な範囲で被災地へ貢献をしていくことで現場の復興はさらに進んでいくと考えられる。こうした活動は将来、さらに信頼される企業の基盤になっていくことは間違いないだろう。
(岸本吉浩 =東洋経済オンライン)



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