「信頼される会社」はどこか。CSR(企業の社会的責任)への取り組みと財務データを基に、東洋経済新報社が毎年発表しているCSR企業ランキング。5回目の今回は昨年まで2年連続2位だったトヨタ自動車が初のトップを獲得した。
同社は環境への取り組みと財務力がともにトップクラスであることが強みであるが、これに加え今回は企業統治+社会性が92.5点と高得点だった。一方、雇用は87.3点にとどまった。特に女性社員登用比率では女性役員はゼロ。部長職は0.2%など低さが際立っている。これまではこうしたマイナス面も高い財務得点でカバーできた。ただしこの数年、同社の利益率は大幅に低下している。財務評価は3年平均の数字を使うため、リーマンショック後の業績が対象となる来年以降は、財務得点が下がると予想される。
2位は、昨年8位から上昇したソニー。雇用2位、環境9位、企業統治+社会性5位と各部門ともバランスよく高得点となった。
雇用や企業統治+社会性はトヨタを上回るが、2年連続最終赤字で財務得点がトヨタに見劣りし、あと一歩トップに届かった。
3位は昨年トップのパナソニック。環境9位、企業統治+社会性2位と個別分野の評価は高い。だが、上位2社に比べると各得点とも昨年より得点の上積みが少なかったため、トップを譲ることとなった。
今回大きく順位を上げたのはホンダ(21位→5位)、富士通(18位→7位)、三菱電機(25位→12位)、三菱商事(28位→16位)、三菱重工業(59位→21位)など。電機、自動車など環境で高得点のついている業種の躍進が目立つ。
製造業以外では総合商社の健闘が目立った。三菱商事が商社として初めて20位以内に入った。雇用が昨年の79.2点から87.3点にアップしたことが大きく寄与した。三井物産も43位から23位へ大きくランクアップ。製造業が上位を占めるなか、今後も高順位が期待できる業種と言えそうだ。
昨年は社会的責任の国際規格であるISO26000が発行され、CSRは新しい局面に入っている。人権に対する規定など日本企業にとっては新たな課題も求められている。今後はこれらへの取り組みも本ランキングに大きく影響してくるだろう。
(岸本吉浩=東洋経済 財務・企業評価チーム)
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