震災で見直しを迫られる製油所の過剰設備削減

東日本大震災発生後10日目の3月21日、東北太平洋側で震災後初の石油タンカーが宮城県塩釜に入港し、2000キロリットルのガソリンや軽油、灯油を荷揚げした。19日に出光興産の愛知製油所を出発したタンカーで、丸2日かけて塩釜に到着。運んだ燃料はいったん塩釜港にある油槽所(石油製品を貯蔵して陸上輸送するための基地)のタンクに移した後、待ち構えていたタンクローリーに積み替えられ、宮城県内や周辺被災地のスタンドへと向かった。

本来なら塩釜は搭載量5000キロのタンカーが接岸できる港だ。だが、津波の影響で大量のゴミが海底に堆積し、現状では小さなタンカーしか入港できない。何とも歯がゆいが、「被災地に近い油槽所が使えるようなっただけでも今はありがたい」(出光興産)。22日には、エクソンモービルも塩釜の自社油槽所に川崎製油所発のタンカーが到着した。出光、エクソンともに、復旧した塩釜の油槽所をほかの石油元売りにも開放し、当面は被災地への燃料受け入れ基地として業界で共同利用する。

今回の震災では、東日本にある製油所11カ所中6カ所が稼働停止。東北唯一の製油所であるJX日鉱日石エネルギーの仙台製油所も被災した。出荷設備の火災は15日に鎮火したが、同製油所は地震と津波で深刻な被害を受け、復旧のメドすら立たない。業界全体ではもともと関東や北海道の製油所から海上輸送して東北地方の需要を賄ってきたが、八戸(青森県)や気仙沼(宮城県)など太平洋側の油槽所は軒並み被害に遭い、当面は塩釜しか使えない。

こうした事態を受け、元売り各社は異例の体制を敷き、被災地への燃料供給を増やそうと必死だ。余力のある西日本地区の製油所の稼働率を最大限高め、増産分を日本海側の秋田や酒田、新潟にある油槽所へ海上輸送。そこから大型タンクローリーで片道数時間をかけ、太平洋側の被災地にあるスタンドへと向かわせている。

その際の大きなボトルネックがタンクローリーの不足だ。被災地では200台以上のタンクローリーが、津波で流されたり、エンジンが濡れて動けなくなるなどの被害を受けた。政府は17日にまとめた緊急燃料対策で、現地への大型タンクローリー投入について、元売り各社へ追加手配を要請。22日夕方までに、関西など他地域から集められた215台の車両が現地入りした。さらに100台近くを追加投入し、東北域内の稼働台数を震災直後の400台から700台にまで増やす方針だ。

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