東日本大震災による金融機関、事業法人の格付けへの影響は限定的《ムーディーズの業界分析》


コーポレートファイナンスグループ
SVP チームリーダー 谷本 伸介
金融機関グループ
マネージング・ディレクター 久保田 穣

日本の状況は、3月11日の巨大地震とそれに伴う津波の直撃により、依然として不透明かつ流動的である。この大災禍は、本州の東海岸に位置する福島県、岩手県、茨城県、宮城県において最も顕著になっている。宮城県の県庁所在地である仙台市、沿岸部にある南三陸町では大きな被害が発生している。しかし、日本の産業の大部分を占める千葉県と神奈川県には、大きな被害は受けていないようである。

地震発生から時間はあまり経っていないが、事業法人および金融法人のクレジットクオリティに対する地震の影響を、早い段階で高レベルの評価をするに足る情報は出てきているとムーディーズは考えている。

現時点でのムーディーズの全般的な結論としては、後述する各業界を除いてはほとんどの大企業および大手銀行の信用格付けに当地震が影響を与えるとは考えていない。ムーディーズが格付けを行っているほとんどの企業の事業は日本中に分散しており、一部企業は海外にも展開しているため、被災地に事業リスクが集中していないからである。

金融法人に関しては、保険業界に重大な影響を与えている。銀行業界については、ムーディーズが格付けしている大多数の格付けには影響しないだろう。特記すべきは、メガバンクおよび大手銀行の被災中心地での営業規模が大きくないことであろう。

また、ムーディーズが格付けしている地方銀行に関しても、被災中心地を主要営業拠点としている銀行はない。銀行業界については、ムーディーズが格付けしている大多数の格付けには影響しないだろう。

しかしながら、被災中心地で主要な営業を行っている地方銀行における事業集中リスクは大きい。その影響については後述する。だが、必要に応じて日本銀行は数日中にでも、銀行システムに対して流動性を供給すると予想している。

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