娘の貞操が心配でも、門限なんか決めるな 親が本当に伝えるべきこと

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夜の外出を制限しても、ほとんど意味がありません(写真:KAORU / Imasia)
アベノミクスでも注目を浴びる、「女性の活用」。一見、聞こえのいいこの言葉、実は大きな問題をはらんでいるという。本連載では、そんな「男と女」にかかわるさまざまな問題を、異色の男性ジェンダー論研究者が鋭く斬る。

 

新入生がキャンパスにあふれる時期がやってきました。私の大教室の講義も立ち見です。今はやる気に満ちあふれている彼女ら・彼らが、ゴールデンウイークの連休後にぴたっと学校に来なくなる現象を、世間では「5月病」と呼びますが、正しく事態を表現できていないような気がします

4年間の学生生活では、「あんまり大学に来ない」ほうが普通の状態です。私は常々、みんながまじめに授業に出ようとはりきっているこの時期こそ、「4月病」と呼ぶべきだと考えているのですが。

ただ、最近の学生さんは私が学生だった頃よりはるかにまじめです。私が駒場で教えるようになった20年間の変化を見ても、昔よりよく講義に出てくるようになりました。「たまには5月病に浸って、自分の人生を考え直せ」とか「そんなに講義に出てたら、勉強でけへんやろ」とでも言いたくなるのですが、まさか講義に出るなとも言えず……。

さて、私の勤務する東京大学は、地方出身の女子学生が少ないとはいえ、全国から学生さんが集まるので、当然、ひとり暮らしを始める女子学生もいます。自宅通学の人も含めて、女子学生の親御さんの中には、門限を設けているところも少なくないようです。

「娘の貞操が心配なら、男の多い大学に入れろ」という記事が好評だったようですので、その向こうを張って、「娘の貞操が心配でも、門限なんか決めるな」と、少し挑発ぎみに議論をしてみましょう。

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