会社を"見限っている"人のほうが出世する ドライな付き合い方を身に付けよう!

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2つめの「いざというときのための蓄えを持っておく」について説明します。会社を辞めてから転職するまでには、ある程度の期間が必要な場合があります。転職することで、給料が下がることもあるでしょう。こういったときに蓄えがないと、そのことがネックとなり、転職するという決断が鈍るおそれがあるのです。

その意味では、金銭的にも、また行動範囲的にもあなたを束縛する住宅購入は、控えたほうがいいでしょう。頭金などは、絶好の自己投資資金です。

また、すでに家を購入している人も、ローンの早期返済はやめるべきです。今のような低金利時代、そのおカネは自分のスキルに投資したほうが、はるかに大きなリターンが期待できるというものです。住宅ローン金利の1%や2%のリターンさえも取れないような自分なのでしょうか? それは自虐的にすぎるというものです。

会社を「見限っている」人のほうが出世するという逆説

さて、ここまで書いてきたように、会社は本当の意味では社員を大切にしないことを理解し、エグジットオプションを採れるような自己投資を続け、いざというときの安心を保証する蓄えもある人。

彼らは、どんな働き方をすると思いますか?

会社に依存する気持ちがありませんから、会社に妙な期待を抱くことはなく、比較的ストレスが少なく働けます。転職力を身に付ける自己投資を続ければ、当然ですが今の仕事にもプラスなはずです。「いつでも辞められる」と思っていれば、変に上司に媚びることなく、正しいことを正しいと主張できるでしょう。

おわかりいただけますか? これこそが「仕事ができる人」であり、出世できる人材なのです。こんな優秀な人材を、上層部が放っておくはずがありません。

逆説的ですが、ある意味で会社を「見限っている」人のほうが、結果的に出世していくのです。皆さんもぜひ、会社とは適度な距離を保って、働いてほしいと思います。

村上 賀厚 ノリ・コーポレーション代表取締役

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むらかみ のりあつ / Murakami Noriatsu

有限会社ノリ・コーポレーション代表取締役。グロービス経営大学院客員准教授として、人材マネジメントや組織行動・リーダーシップ分野を担当。
同志社大学商学部卒業、イェール大学経営大学院経営管理学修士(MPPM: Master in Public and Private Management、現MBA)取得。大阪市生まれ。
マーケティングエージェンシー2社で営業およびプランナーとして勤務後に、株式会社日本コンサルタント協会および住友ビジネスコンサルティング株式会社で人事コンサルティングを経験。
イェール大学経営大学院留学後は、フォード自動車(日本)株式会社(人事課長)、日本JDエドワーズ株式会社(人事部長)、日本モンサント株式会社(人事総務本部長)、ロイター・ジャパン株式会社(人事本部長)、GEコンシューマー・ファイナンス株式会社(人事本部ディレクター)など、世界の上場企業の日本法人で人事の責任者を務める。独立後はノリ・コーポレーション代表取締役として研修やコンサルティングを行うとともに、収益不動産の開発も手掛ける。

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