親会社ソフトバンクも不満、ZHD「再編」に漂う焦燥 ヤフー・LINEとの合併で現状打破できるのか

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Zホールディングスは傘下のヤフー、LINEと合併すると発表した。2021年のLINE統合以降、目立った成果を出せていない根因はどこにあるのか。

LINE統合後のサービス開発などの遅れは、回り回ってZHDの業績にも影を落としつつある。写真は2021年3月の経営統合時(撮影:尾形文繁)

「非常に期待感をもってワクワクしていたが、この2年間、世間をあっと言わせる新しいプロダクト(製品)が生まれてこなかった」

ソフトバンクの宮川潤一社長は2月3日、都内で開いた2022年4月~12月期決算説明会の場でそう不満をあらわにした。

不満の矛先は、同社傘下のZホールディングス(HD)だ。ZHDは2月2日、中核子会社であるLINE、ヤフーとのシナジー拡大を加速させるため、2024年3月期中をメドに3社を合併する方針を明らかにした。

2021年3月にLINEと経営統合してからの2年間、ZHDは精彩を欠いていたと言える。一世を風靡する製品・サービスが出なかったことに加え、当時掲げた事業計画も達成できていないケースが目立つ。

「個別最適」だった組織体制の問題

経営統合時、ZHDはQRコード決済の「LINE Pay」と「PayPay」を2022年4月にも統合する方針を示していた。しかし2023年2月の現時点では、依然として統合できていない。社会課題解決に向けたサービスの強化も打ち出し、2022年3月期中にはオンライン診療「LINEドクター」で服薬指導を始める予定だったが、実際に始まったのは2023年1月だった。

当時から期待されていたヤフーとLINE、PayPayのID連携についても、2023年以降をメドとしており、今なお実現していない状況だ。

統合によって3億人超の巨大な経済圏を手にしたZHDが、統合に手こずっている背景に何があるのか。

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